「お金の賢人から学ぼう!」(下)~バフェット氏に学べば、我々でもお金持ちになれる!~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.97

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

2018年3月、アメリカの経済誌・フォーブスが発表した世界長者番付2018によると、ウォーレン・バフェット氏の資産は昨年対比84億ドル増の840億ドル(約8兆9000億円)へと増加しました。しかし、アマゾンのジェフ・ベゾス氏が首位に躍り出たため、順位は3位へと後退。2位はマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏となっています。

ウォーレン・バフェット氏は、有名になってからも長年「自伝は書かない」と公言していました。そのため、氏が大富豪になった経緯の多くは謎に包まれたままでした。ところが2008年、ご本人公認の自伝『スノーボール』が発表されたことによって、ようやく氏の成功までの軌跡が明らかとなりました。

『スノーボール』によると、氏の基本的な生活スタイルとは、毎日8時半にはオフィスに出勤。そこで新聞や雑誌に目を通し、ニュースを見たり電話に出たりしながら、合間に投資を検討している企業の決算書を読んだりして過ごします。そうして、17時半には退社。家で家族と食事をした後、しばしネットゲームをしたり、夜の電話会議などをこなしてから就寝。そこには、大富豪の意外に単純な日常が描かれています。

 本書を読めば、普段、公衆の面前で見せている「ジョーク好きでサービス精神旺盛な」バフェット氏とは、また違った一面を垣間見ることができます。

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【Vol.97『お金の賢人から学ぶ(2)』目次】

〔1〕イントロ:普段、見せないバフェット氏の素顔とは

〔2〕本文:「お金の賢人から学ぼう!」(下)~バフェット氏に学べば、我々でもお金持ちになれる!~

1、「弱者の採るべき戦略」を知る

 ◎成功法則5:過去ではなく未来を見よう

 ◎成功法則6:値段が高ければサービスも良い、とは限らない

 ◎成功法則7:群集心理を避けよう

《投資における弱者の戦略 5つのポイント》

2、望む自由を得るための最初の一歩とは

 ◎成功法則8:止め時を知ろう

 ◎成功法則9:お金ばかりに気を取られない

《尊敬している人のようになるための4ステップ》

〔3〕次回予告(予定):「マネープラン・人生アドバイス実践編」〜密かに忍び寄る人生の危機に対処する方法〜

〔4〕編集後記:流行りの「稼げます」詐欺にご注意ください!

〔5〕有料メルマガご購読ご愛顧キャンペーン:マネースクール会員200名突破記念特別プレゼントのお知らせ

〔6〕今後の特集スケジュール:2018年6月予定

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◆〔1〕イントロ:

 普段、見せないバフェット氏の素顔とは

バフェット氏の生活ぶりをお知りになりたい方は『スノーボール』をお読みいただくとして、かつて、同書を執筆したアリス・シュローダー氏は、バフェット氏について聞かれた際に、このように答えています。

「バフェット氏の頭脳の回転速度は尋常ではなく、一緒にいると四六時中テストを受けているような緊張感がありました。朝、目を覚ましてから夜眠りにつくまで、頭の中には『投資』のことしかない人です」

シュローダー氏のこの短い言葉の中には、いくつかの貴重な情報が読み取れます。まず、バフェット氏のIQが非常に高いことです。氏は数学に対して天才的な才能を持っており、小さい頃は数字に関することなら、どんなことにも興味を示した、と言います。子供の頃は競馬場をうろつき、数学の知識を使ってモグリの予想紙などを販売していたこともあります。

それから、これはバフェット氏が投資で成功した大きな要因になるのですが、氏が「朝から晩まで投資のことに集中している」、という点です。通常、人は1人で何役もの役割をこなしているのが普通です。たとえば「夫、父親、子供、友人、同級生、社員、上司、部下、同僚…」等々。しかしそうなると、どうしてもそちらにも力を振り分けなければいけません。

バフェット氏はもとから投資の才能を持っている上に、さらに自分の時間のほとんどを、投資を考えることに費やしている。これが、氏が並外れた成功を収めている大きな要因です。シュローダー氏は、バフェット氏について聞かれた際に、最後にこう述べています。「彼は投資にのめり込むことで、多くのものを犠牲にしてきました。これもまた、一面の真実なのです」と。

◆〔2〕本文:

「お金の賢人から学ぼう!」(下)~バフェット氏に学べば、我々でもお金持ちになれる!~

さて。今回は前回に引き続き、「お金の賢人から学ぶ成功法則」の続編をお送りいたします。“オマハの賢人”と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の言葉を私なりに解釈し、詳しく解説していきます。引用させていただく名言はこちらです。

バフェット氏が明かす 成功するための9つのアドバイス

https://www.businessinsider.jp/post-164277

前回は、成功法則の1〜4までを解説しましたので、今回は残りの5〜9についてお話します。バフェット氏が86年の人生の中で体得してきた貴重な教訓を、ぜひあなたもご自身のものにしていただければと思います。

■1、「弱者の採るべき戦略」を知る

「成功者に学べ」というのは、世間でよく言われているところです。他者から学ぶことが重要なのは言うまでもありません。しかし、成功者と私たちの間には大きな隔たりがあり、一足飛びにそこにはたどり着けないことを知る必要があります。だとしたら、それまでの間はどのようにすればいいのでしょうか?

【成功法則5:過去ではなく未来を見よう】

いろいろな意味を含んでいる言葉だと思いますが、主に「失敗に対するリカバリー」について語っているのではないでしょうか。投資をしていれば、どんなに選んだつもりでも、思ったよりうまくいかない投資先が必ず出てきます。一般に、予想する未来が遠ければ遠いほど、その精度は低くなります。これは未来がまだ起こっていないことである以上、やむを得ません。

最近のバフェット氏の失敗例で言うと、IBMへの投資があります。長年、「自分が理解できない事業には投資しない」という考えに従って、ハイテク株やIT関連への投資を控えてきました。ところが、2011年に突如としてIBM株に投資を始め、その筆頭株主に躍り出た際には、市場から驚きを持って受け止められました。

なぜ突然、IBMだったのかというと、ご本人曰く「50年以上、IBMの年次報告を読んできたが何も感じなかった。それが、今年になって別の角度から同社の報告書を読んでみたところ、すごい会社だということがわかった」のだとコメントしています。購入時のIBM株は、当時のほぼ最高値でした。

しかし近年のIBMは収益の中核となり得るような、競争力のある事業を育てることができていません。頼みのクラウド事業部は、ライバル会社に水を開けられています。結局、氏は6年経って同社の株をすべて売り、代わりにアップルを買い増しして、現在は第3位の大株主になっています。

もともと、バフェット氏が「未来を見よう」と言ったのは、「長期投資で思った通りにいかないことがあっても、そこに執着していては、その分だけ未来の利益が損なわれてしまう」からです。氏は、過去の株主総会で自分がアマゾンなどに投資をしてこなかったことを悔やむ発言をしています。ですがよく考えてみると、これだけの成功者が自分の過ちを素直に受け入れ、他人の前でそれを認めることができる、というのは驚くべきことではないでしょうか。

実は、人間が「未来を見る」というのは、思っているよりもずっと難しい行為です。本来、動物としての人間は、未来のことに深く想いを馳せるようにはできていません。未来を見ることができるようになるためには、「目標を持つこと」がポイントです。「将来、あれが欲しい」とか「こうなりたい」、もしくは「こうはなりたくない」といった思いが人を動かす原動力となります。

これはたとえばマラソンを走ることと同じです。仮に、誰かから「とりあえず走れるところまで走ってみなさい」と言われたところで、おそらく走ることはできないでしょう。「ゴールは42.195キロを走り切ることです」と言われるからこそ、そこに向けた準備が始まるのです。いずれにしても、今年(2018年)87歳になるバフェット氏が「未来を見よう」と言うと、やけに説得力があるとは思いませんか?

【成功法則6:値段が高ければサービスも良い、とは限らない】

この名言を読んだ方は、おそらく「その通りだ」と思う反面、「そうは言っても『安かろう悪かろう』という言葉もあるし」とお感じになった部分もあったのではないでしょうか。実はこの言葉は、それぞれ使っている場面が違います。たとえばあなたも普段の消費活動の中で、「安かろう悪かろう」を実感していることと思います。材料費が高くつけば、価格も高くなるのが普通です。

それに対して、投資の世界では「高いものが良いパフォーマンスを示す」とは限りません。価格は市場の動向によって上下し、人間心理も強く働きます。人は、他人が買っているものを見ると、つい「あれは良いものに違いない」と考えがちですが、投資でもそれが当てはまるとは限らず、むしろ逆の結果となることも度々あります。

バフェット氏は以前から「一般の投資家は、ヘッジファンドに高い手数料を払ってアクティブ投資を行うよりも、インデックス投資のほうが結局はパフォーマンスが高い」と発言しています。氏はそれを証明するために、2008年から10年間、S&P500連動型のインデックス投信と、ヘッジファンド会社の運用成績を調査したところ、インデックス投信が圧勝する結果になっています。

※インデックス投資とは、ベンチマーク(指標)連動型で、人の判断を不要とするため手数料が安い。アクティブ投資とは、ファンドマネジャーなどが市況を見ながら売買を繰り返す投資法。人間が判断するため、手数料が高い。

「暴落は好機」。高手数料のヘッジファンドがインデックス投信に完敗

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27905220Z00C18A3000000/

この名言でバフェット氏が言っているのは、「ものの本質を見ることが大切だ」ということです。確かに、価格は比較をする際の尺度ではありますが、価格によって価値が保証されているわけでも、固定されているわけでもありません。いずれにせよ、必ず「自分で見分ける目が必要」となります。そうは言っても、私たちがバフェット氏並みの目利き力を持つことはできません。ですから、私たちが採るべきなのは、プロが強者なのに対して「弱者の戦略」です。

強者は、選別眼を持っています。たとえばファンドマネジャーが勧める商品の良し悪しを区別できる能力があれば、一般人のアクセスできない掘り出し物を見つけられる可能性があります。バフェット氏の実験によれば、選別眼のない弱者がアクティブ投資を行っても、手数料に見合う以上のパフォーマンスは出せませんでした。

しかし、実験は同時に「選別眼のない人であっても、中庸の銘柄を長期運用することによって、平均以上の成果を出すことは可能」であることも示しました。氏が、自らの影響力の強さを計算に入れた上で、この実験を行ったのは大きな意味があると思います。

【成功法則7:群集心理を避けよう】

かつて、バフェット氏はこのように言っています。「ビジネスの世界でもっとも危険な言葉は、次の5つの単語で言い表すことができます。それは『他の誰もがやっている(Everybody else is doing it)』」だと。もともと、人間は予測のできないことが嫌いです。でも、他人がすでにやっていることであれば、「自分も大丈夫なのではないか?」と感じます。いわゆる「赤信号、みんなで渡れば怖くない」心理です。

特に、他人が何かに群がっている様子を見たりすれば、居ても立ってもいられなくなるのが人の性というものでしょう。その顕著な例が、前回Vol.96でもお伝えした“仮想通貨フィーバー”です。2017年の年末から2018年年始にかけて、多くの人が借金で仮想通貨を購入し、その大多数が焦げ付くか塩漬け状態になりました。

実は、仮想通貨も「特定のコインを短期間に売ったり買ったりする」よりは「いくつかのコインをドルコスト平均法(定額購入法)で買う」か、もしくは「買いっぱなしでしばらく寝かせておいた」ほうが利益を享受している場合が多いのが実情です。その主たる事例が、仮想通貨を最初に日本に知らしめることとなったマウントゴックス事件です。

これは2014年、仮想通貨取引所のマウントゴックスが、ハッキング被害によって顧客の75万ビットコインと自社の10万ビットコイン(約470億円相当)を消失した末に経営破綻した事件です。ところがその後、ビットコインが急騰したため、残ったコインで債権者に満額返済できるメドがつくという、珍しい事例となりました。こうなったのは同社が倒産したことによって、ビットコインが引き出せなくなり、寝かせているうちに価格が高騰したためです。

当然のことですが、他人と同じことをしていては恩恵には預かれません。大きな成功を手に入れたければ、成功する要素があって、かつ誰もが選ばない道を1人行く勇気が必要です。

バフェット氏は、誰もが投資を敬遠していたリーマンショックの最中にも、資産を大きく増やしています。2008年9月、ゴールドマン・サックスの優先株を50億ドル分買い、翌月にはGEの金融部門にも30億ドル出資するなどしました。本文1に添付したURL「暴落は好機」を、身を以て実践したわけです。もちろん結果は圧勝。“オマハの賢人”の面目躍如たるものがありました。

私たちが、氏とまったく同じ行動をとるのは難しいでしょう。私たちが採るべきなのは、弱者の戦略です。たとえば仮想通貨を例に見てみると、マウントゴックスが破産した2014年の頃に「仮想通貨の将来性に気づいて大量購入する(強者の戦略)」というのは、普通の人にはなかなかできないと思います。しかし仮想通貨が注目され始めた2017年の夏頃であれば、その存在を知っていた人というのは結構、いたのではないでしょうか。

弱者の戦略を身に付けたいのであれば、みんなが群がってから慌てて手を出すのではなく、「おやっ」と思った時点で調べてみて、将来性を感じたら少額投資から試してみる、というのがいいでしょう。仮想通貨は、新しいインフラです。よって、儲ける云々よりも「未来の通貨の可能性に一足早く関わる」ことにこそ意義があると思います。この考え方に共鳴するのであれば、今から取り組んでも遅過ぎる、ということはないのではないでしょうか。

《投資における弱者の戦略 5つのポイント》

(1)世の中の動きにアンテナを張る

(2)投資対象と市場の将来性に目を向ける

(3)一攫千金を狙わない

(4)生活費をつぎ込まない

(5)ドルコスト平均法(定額購入法)などの方法を取り入れれば、価格の上下はある程度、慣らすことができる

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