デジタル時代のオムニチャネルにどう備えるか?
オムニチャネルという考え方があります。オムニ、とは「全て」のという意味で、全てのチャネル(場所)で生活者との接点を持とう、という考え方。
ITの進化で、今ではスマホやタブレット端末を使い、場所を選ばず情報に接することができ、もちろんながら、そのモノやサービスを購入することができる。
ほぼどんなものでも、リアルな店だけではなく、ネットでも買えるし、個人からも買える。
人がモノを買う、という行動がますます複雑になっている、という認識をすべきだ。
先日も、ある書店でPOPのようなカードがおいてあるのを発見。それは、ある本の「電子書籍」を買うためのカードで、レジに持っていくと、電子書籍で買うことができる、というものだった。
通常、電子書籍はリブロやキンドルのような、「電子書籍リーダー」上で「直接」購入をするコトが大半だが、リアルの書店で、レジを通して、「自社のリーダーで読める電子書籍」を買うことができるという、この逆転の発想に驚き、こんな売り方もあるんだ!とまさに感動だった。
これは、お客様にとって非常に便利で、「リアルな本でも電子書籍でも自分が好きな方を選べる」ことになる。
リアルの書店さんにとっては、リアルな書籍も買えるし、電子書籍でもいいですよ、という「独自価値」を出せる。一方で、インターネットのみで販売する企業にとって、十分な脅威になりえる。
消費者が、モノを様々な販売場所(=チャネル)で購入できることを、マルチチャネル、という。
本を買うのに、本屋もあればネット書店もある、というのがこれにあたる。
これに対して、本屋で見て、ネット書店で注文し、コンビニで受け取るといった、1回の購入を複数の場所で行うことをオムニチャネル、と呼ぶ。
この事例も「広い意味」では、オムニチャネル的な発想といえる。
ここで重要なのは、「オムニチャネル」が流行っているのでうちの会社でもやらなければ、ということでではない。
自社の都合だけを考えた目線でいると、本来のオムニチャネルを活かせる発想はできない。
「お客様が便利に買えるにはどうすればいいか」という顧客視点でいることで、初めてこういう発想が出てくる。
この自社視点から顧客視点への転換こそが、売れるかどうかの別れ目になるのだ。
中小企業は、常にDNAとしてお客様の期待を超えるために、視点を変え行動を変容しなければならない。
リアルよりネット、ネットよりリアル、というのがオムニチャネルの本質ではない。顧客の立場に立ち、期待を超えるコトを提供するのが必要だ。
その意味でも、参考にできる事例だった。
■目次
… 1. 特集 「デジタル時代のオムニチャネルにどう備えるか?」
… 2. コラム 「マーケティングを日本から世界へ」
… 3. 書評 「モノが少ないと快適に働ける」
… 4. ワンポイント時間術「勝った時こそ分析せよ」
… 5. 著書・イベントのお知らせ
… 6. 編集後記