資格取得は正しい選択か?~どうせ取るなら絶対に損しないコツ~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.30



資格取得は正しい選択か?

~どうせ取るなら絶対に損しないコツ~

こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

日本の大手通信教育業のユーキャンが調査した「採用担当者が重視する資格ランキング」が発表されました。

それによると、現在ビジネスパーソンが「キャリアアップに有効」と感じて取得を検討している資格とは、

1位 ファイナンシャルプランナー(FP)

2位 TOEICテスト

3位 社会保険労務士

4位 ケアマネジャー(介護支援専門員)

5位 宅建士

・・・という順位でした。

これを見て、確かに「人気の資格だな」と納得する方も多いのではないでしょうか。人気の理由とは「仕事に直結しそうだから」なのだと思います。

実は、僕も宅建を持っています。まったく使っていませんが(笑)。取ったのは19歳の時で、まだ宅建が「宅地建物取引主任者」といわれていた頃(現在の正式名称は宅地建物取引士)の話です。これを取った理由とは、当時はバブルの時代で、先輩の多くが不動産業者に就職するのを横目で見ていたからでした。

その時人気の就職先といえば、証券会社、銀行、不動産業者。今、当時の自分を思い返してみると、「人間とは周りの環境に影響されて、興味を向ける方向性もある程度、決まってくるものなのだな」と感じます。

上記の記事が「採用担当者が採用時に重視している資格」とある通り、資格を取る人は、採用担当者の目線を意識してのことなのだと思います。実際、大企業などになると、会社で資格取得を奨励していたり、中にはTOEICの点数が人事考課に影響するところなどもあって、「課長になるには何点以上取らないといけない」といった規定があるところもあります。

しかしその一方で、時間とお金をかけて資格を取った結果、会社からどれくらいの資格手当が出るのかというと、たいていは「かけた費用も回収できないくらいのわずかなお金しか出ない」といったパターンが一般的です。

実のところ、サラリーマンだけでなく、起業しようという方の間でも、資格取得は人気を誇っています。たとえば最近、僕が面談した方の中に、現在は契約社員として働いているけれども、「独立したいから社労士の資格を取ろうと考えています」と話している方がいらっしゃいました。

それ自体はとても前向きな考え方だとは思うのですが、ひとつ大きな問題があります。それが何かというと、「資格を取ることと、お金を稼ぐことはイコールではない」という事実です。

要は、苦労して資格を取っても、それが「お金を稼げる」という保証にはまったくならないということです。



【Vol.30『資格取得は正しい選択か?』目次】

〔1〕イントロ:資格がある業界には、「ライバルがひしめいている」

〔2〕本文:資格取得は正しい選択か?〜どうせ取るなら絶対に損しないコツ〜

1、資格を取るのに必要な時間を推し量ってみよう

◎「資格取得は投資である」

◎何のために資格が必要なのか?

2、それでも「資格取得」を選ぶ場合

◎「長続きしない」人が資格を取る方法とは?

◎これから役に立つ強い資格はあるのか?

3、「自分の才能」を伸ばす方法

◎何に注力すべきなのか?

◎ビジネスパーソンにとって「本当に必要なもの」とは

4、経営者は「資格」をどう考えているのか?

◎資格があっても食べられない要因

◎「資格」よりも会社で評価されるものとは?

5、「有資格者を使う人が一番稼いでいる」という現実

◎「資格で稼ぐ」ためのステップ

◎「資格」というネタでビジネスをする

6、見るべきなのは、有資格者の「仕事ぶり」より「稼ぎぶり」

◎「資格の未来」はどうなるのか?

◎大事なのは需要を見つけ、それを形にすること

7、自分が「本当にやりたいこと」とは何なのか?

★本日のワンポイントアドバイス☆★

成功するビジネスモデルのつくり方の5ステップ

〔3〕次回予告(予定):

もはや「他人ごと」とはいえない?!

〜相続・贈与のイロハ〜

〔4〕書籍のご紹介:

どうしたら、早く帰る習慣が身につくのか?

〔5〕今週のQ&Aコーナー:

「未上場株は儲かる」ってホント?

〔6〕今週の気になるトピックス:

1、「おもてなし」と「自分の取り分」とどっちが大事?

2、日本をもっと「起業が当たり前」の国にしよう!

〔7〕編集後記:

「仕事以外の趣味」も持とう!



◆〔1〕イントロ:

資格がある業界には、「ライバルがひしめいている」

文頭で、向上意欲のある人の間で資格取得に対する人気が高いこと、人気に反して、資格はお金とは直結していないことをお伝えしました。

僕はFCオーナーとして、Dr.ストレッチを複数店経営しています。ストレッチが属するリラグゼーション業界とは、もともと国家資格が多いところです。そのため、資格を目指す社員も結構いますが、ストレッチ自体には資格がありません。なぜかというと、最近できた新しい業界のために、まだ公的資格ができていないのです(FCチェーン内で定められた「トレーナー資格」というのがあり、それに合格しないとトレーナーを名乗ることはできません)。

ここには、ビジネスに通じる重要な考え方が隠れています。それはストレッチ業界は、資格ができていないほど若い業界のために「ライバルが少ない」ということです。

すでに「資格がある」ということは、取得を目指す人がそれだけ多いということの証です。その資格を持っている人が多いほど、その分ライバルも多くなり、顧客の奪い合いが始まります。つまり資格ができている業界とは、すでに価格破壊が起こっているか、価格下落のスパイラルに陥る手前にあるということです。

独立を目指す人の多くが「資格取得を意識する」という話をしましたが、万一、そういう人たちが「資格を取った」「さあ、独立だ」と意気込んで業界に乗り出していったらどうなるでしょうか?

結局、資格があるだけではお客さんがきませんから、価格を下げるしかなくなります。そうなると、本来は実力がある人までも、価格面で影響を受けることになり、業界全体のステータスが下がることを意味します。

それで一体、誰が一番儲かるのでしょうか?それはもちろん、資格取得業界です。

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