親が貧しいと子も貧しくなる?~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

「親の経済格差が子の教育格差を生み、貧困が連鎖する」は本当か?

雑誌やネットのコラムなどで、「親の所得格差が子の教育格差を生み、貧困が連鎖する」という記事がたびたび取り上げられます。

確かに相関関係はあると思いますが、私は直接的な因果関係はないと考えています。

昨今ではすでに、高等教育を受ければいい会社に就職もできて安泰という図式は崩れつつありますし、奨学金制度があるので大学に進学できないというケースは稀でしょう。(私自身、高校・大学には奨学金で進学し、15年かけて完済しました)

貧困が連鎖する本当の原因は、親の子育てではないかと私は考えます。

それは、低所得の親の思考パターンと行動パターンが子に伝わるからです。

そもそも、なぜ親は低所得なのか。それはたとえば、難しい課題に取り組もうとしない、新しい仕事に挑戦しようとしない、困難にもくじけず耐えようとしない、逆境を乗り越えて目標を達成しようとしない、勉強して能力を高めてより成長しようという意欲が低いために起こることではないでしょうか。

つまり、親自身が勉強することの価値を理解していないからです。親自身が「学ぶこと、努力することによってのみ自分を成長させることができるのだ」と認識していなければ、それを子どもに伝えることはできません。

たとえば「勉強しろ」「早く宿題済ませろ」などというのは教育でも何でもなく、単なる強制です。大人でも会社で上司から「仕事しろ」「さっさと終わらせろ」などと言われたら気分は良くないでしょう。

そして、そういうマインドは当然、日常生活の親の振る舞い、そして子供にかける言葉にも違いが出てきます。

「自分にはムリ」と思っている親の口から出る言葉は「お前にはムリ」ではないでしょうか。

じっくり考えるのを面倒くさがる親は、子どもが「それどういこと?」と聞いてきても「しらない」「どうでもいいよ」で終わってしまうかもしれません。

家族でテレビを見ていて、事故のニュースが流れた時に発するセリフも「怖いねえ」くらい。

そんな親の言葉、態度、何かに取り組むときの姿勢を見ていれば、子どもも当然それを見習います。そうして親と同じような思考パターン、行動パターンが形成されます。

虐待されて育った子どもが親になったとき、また子に虐待するというケースがあるのもそのためで、子にどう接していいかわからない親に育てられれば、本人もやはり自分の子にどう接していいかわからず、結局親と同じことをしてしまいやすいのです。

つまり親自身が低学歴・低所得となるような思考と行動をしているわけで、それが子どもに伝わっていることが原因と言えるのです。

反対に、高所得の親の思考と行動はどうでしょうか。

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