【ほぼ無料】「結果にコミット」しなかったコミットメント経営者

マクドナルドやリクシル他、「プロ経営者」という言葉から輝きが失われている中、ゴーンCEO逮捕というニュースは、それまでのプロ経営者とはランク違いの大きな衝撃です。まるでスパイ映画のような社内クーデターではないかという説もあり、今でもさらなるどんでん返しがあるかも知れぬと、ビクビクしながら書いている私です。

1.全盛期からの転落時の手のひら返し

私はカリスマと呼ばれた方が全盛期に書いた自伝や、ヨイショ本をブックオフの100円コーナーで買うのが趣味なのですが、けっこうなお宝本を所蔵しています。これは失敗した人間へのザマーミロ的偏執心を満足させるためではなく、むしろ全盛期に人生の頂点を迎えたであろう人物を褒めたたえてるのに、スキャンダルや経営不振で転落すれば、水に落ちた犬は叩けとばかりに攻撃する手のひら返しっぷりを楽しむという健全な嗜好によるものです。(「健全」なのか?)

ニュース番組の街頭インタビューで「ゴーン氏逮捕をどう思いますか?」と聞かれた若いサラリーマンは「名経営者なのに・・・」というようなコメントをしているのが気になりました。ゴーン氏を(容疑者なので「氏」で良いと思う、きわめてリーガルマインドに則った判断であり、万一逆転復権したら恐いからとかじゃありません。なので、ゴーンメンバーと呼ぶのも控えたいと思います)

古傷探し大好きな私としては、忘れてませんよ「日産パワー88」。これは瀕死の状態だった日産をリバイバルプランでV字回復させた黒船経営者、カルロス・ゴーン氏が、さらなる日産の成長を目指して策定した、2017年3月期までの6年間の中期経営計画のことです。

例えば;

・売上高営業利益率8%

・世界シェア8%

・EV販売150万台

・高級車シェア10%

といった、正に「結果にコミットする」を売り文句にして日産を立て直した手腕の見せどころな計画目標でした。間違えました、「結果にコミットする」とゴーン氏がテレビCMで言っていたことはありませんでした。

2.「パワー88」の結果は?

しかしながら、2018年現在、その壮大な経営計画の結果は出ています。こんな感じ(日経新聞2017/5/22)

・売上高営業利益率6.9%

・世界シェア6.1%

・EV販売30万台

・高級車シェア24万台(シェア換算では約5%程度??)

となりました。

V字回復の秘訣はコミットメント経営であり、幹部は結果責任を負うことを厳しく要求し、成果を出せば報奨し、成果を出せない者はカットされるという正に外資の掟で日産をリバイバルさせたゴーン氏。私はマスコミからの「結果にコミットは?」というツッコミを期待しましたが、知る限りそれを直接問い質したニュースは見ていません。

なにしろゴーン氏はこの年、日産社長・CEOを退任してしまったのでした。この時期、日産以上に耳目を集めたのは三菱自動車という、日本を代表する大企業の崩壊でした。この世の誰もが疑うことなかった天下の三菱系大企業が存亡の危機に瀕すうるほどの業績悪化をしてしまったことで、ルノー・日産グループとして世界1の自動車会社になることを視野においていたゴーン氏が、三菱自動車再建に手を貸し、グループ傘下に収めたのでした。

この時期三菱自動車が「ルノー・日産になった」ニュースばかりで、CEOとして結果コミットメントへの責任はほとんど聞かれませんでした。私は何かうまいこと逃げたんじゃないのかと感じたものです。

3.増沢式キャリア講座「なぜゴーン氏は年収10億円なのか」

これは実際に私が講座を持つキャリアデザインなどの授業で学生に問うている問題です。トヨタの豊田章男社長の年棒は2012年まで2億円に達していませんでした。その後現在に至る業績向上により、2017年は大幅に増えて3億8千万とほうどうされています。

ちなみに公表資料ではトヨタの売上高営業利益率は2017年7.2%、2018年8.2%、営業利益も2兆円という膨大なものです。しかしゴーン氏の年棒の方がはるかに高いという状況が続いています。(さらに最新ニュースではその公表の倍の裏給与があったというのが現時点)

このからくりはなぜでしょう?なぜゴーンさんはこんなべらぼうな給料をもらえるのでしょうか、と学生に問います。理屈は単純です。「誰が給料を決めるのか」と考えれば良いのです。ゴーン氏は常にインタビューでも「株主のために」と言い続けます。では日産の経営を左右する株主は誰ですか?

IR情報によれば二位以下をダントツに引き離す筆頭株主は「ルノー エスエイ」と出ています。つまりゴーン氏の「株主のため」という言葉は「自らCEOであるルノーのため」とも翻訳できるのではないでしょうか。筆頭株主が経営者の給与を決める権利があるのは当然ですから、報酬委員会などのプロセスを経る必要はあっても、元々の提案自体が自分有利であるとしてもそれは当然な気がします。

4.結果にコミットしたライザップ

このニュースでかすんでしまいましたが、株式市場を驚かせたのはライザップの決算です。黒字から大赤字に転落ということで、現時点でもまだ株式市場は連日ストップ安を付けた価格から本格回復は見られません。やはりライザップがべらぼうなテレビコマーシャルで市場を席捲した時、こぞってライザップの斬新で優れたジム経営は褒めたたえられました。

しかしライザップに通った人からは、トレーナーが急膨張し、かなりレベルには疑問がある人がついているという声を当時聞いています。そのイメージがあったのでライザップ英会話のようなサブブランド展開で、講師の求人条件で、英語力が低すぎるのではないかと感じたものもありました。もちろんTOEICなどの点数と英語力がイコールでないのは2万%わかっていますし、これ以上の能力の方が採用されているのだろうと思いますが。

トレーニング方法より、しつこく食い下がって毎日の食事制限を追いかけるようなアプローチと週2回のトレーニングが続けられれば確かに効果はあるのだろうと思います。そういう意味では別にいんちきでも何でもないどころか、堂々の正統派トレーニングだと思うのですが、妙に報道だかヨイショ記事だかが独り歩きしてしまい、勝手なクオリティ幻影を膨らませたようにも感じます。

今回ライザップの決算が急転して悪化したのはM&Aのせいということではありますが、大成功したジム事業そのものが本当にそれだけ絶賛されるクオリティだったのかという疑問があります。これは批判ではなく、クオリティが良いのは当然であり、その展開方法、営業政策に成長の優位性があったのではという意味です。そんなことも吹き飛ばすほど市場を席捲できたから今の地位があるのでしょうが。ってことは経営の秘訣的な記事も、実は本当かどうかわからないという、おっと同業者批判までしては抹殺されてしまう・・・おや?誰か来たようですね。

5.コムスン/グッドウィル折口元会長まで登場、そして次は・・・?

(最後ここだけ有料。ここまで読んだ投げ銭代わりに。文末悪口コーナー読んでみたいという方、よろしくお願いいたします。店主敬白)

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