福島原発のがん発生と原発再開についての社会的合意~武田邦彦集中講座 今の話題を深く考える(5)

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◆厳格な管理を貫いてきた日本の原発。なぜ福島原発事故から一転したのか

日本人は真面目で信頼できる民族でした。だからこそ国も繁栄し、国際的にも好感を持たれています。でも時折、日本人はびっくりした時に腰が砕けて、あらぬ方向に行ってしまいます。その一つが福島原発事故でした。

事故の前までは、日本人は原子力に対して冷静で、原発もしっかり作り、管理も世界に誇る状態でした。軽水炉という比較的安全な炉を選択し、技術者も真面目に安定した運転をしていました。社会的にも、一般人の被ばく限度(1年1ミリシーベルト以下)、放射性物質の管理(誰もが知っているマーク)も世界に誇るべき状態だったのです。

このように原発や被爆に対して、日本人は慎重だったので、テレビや新聞も被ばく量が1年1ミリ以下にならなくても、ちょっとした放射性物質の漏洩事故を大々的に報じていましたし、「基準より低ければ安全というわけではない!」と言っていました。また、電力会社も「従業員の被ばく量は1年20ミリ以下と決まっているが、安全を見て1年1ミリ程度に抑える」として、現実に被ばく量を減らしてきました。

ところが、福島原発事故に驚いた政府、原子力関係者、国民は動揺し、それまで国民に言っていたこと、法令の決まりを捨てて、「1年1ミリシーベルトなどという規制はない」「1年100ミリまで大丈夫だ」果ては、「もともと被ばくは危険ではない」などと180度、考えを転換しました。それまで、被ばくに対してはとても厳しい記事を出していた朝日新聞までが「被ばくは大したことはない」(署名記事)を出すようになったのです。

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