「FPってどんな仕事?」 ~人気の資格に隠された素顔とは~事業をする上で欠かせない事務作業との付き合い方~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.37

「FPってどんな仕事?」

~人気の資格に隠された素顔とは~



 こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 ソニー生命が2015年1月に発表したライフプランニング調査によると、調査対象となった全国の男女1000人のうち、「将来の不安要素を把握したいと思いますか?」という質問に対して、9割弱の人が「そう思う」と回答しています。「最近感じる生活不安は?」という問いに対しては、1位「家計・経済状態」が62.6%、2位「健康状態」44.9%、3位「老後の生活設計」42.2%という結果が出ています。

 さらに、それに対する「ライフプランニングを行なったことがあるか?」と聞いたところ、8割弱の人が「ある」と答えています。そのライフプランニングを相談した相手が誰かというと、「配偶者・恋人」27.6%、「親」23.1%、「友人・知人」16.2%の順で、お金の専門家と言われるファイナンシャル・プランナーに相談したと答えた人は、わずか8.2%にすぎませんでした。

 この調査から、多くの人が「お金の不安を払拭したいけど、知らない人に相談するのは気がひける」と感じている様子が伺えます。

 そうした需要に応えるかのように、現在、資産の相談相手として、AIなどを活用したロボアドバイザーが急速にシェアを拡大しています。今月(2017年)2月には、ロボアドバイザーを含めた資産運用サービスを開発中のベンチャー企業・フォリオが、約18億円の資金を調達。昨年サービスを開始したお金のデザイン(社名)のロボアドバイザー・テオは、5ヶ月余りで10万人が無料診断を受け、8ヶ月で申し込みユーザーが1万人を突破したとの報道もなされています(ロボアドバイザーについてはVol.13「不動産投資編」Q&A参照)。

「お金のことを何とかしたい」と思っている人の中には、それを自力で解決しようと考える「自力解決型」の人もいます。その方法のひとつが、「自らファイナンシャル・プランナーの資格を取る」ことです。

 NPO法人日本FP協会のHPによれば、2017年2月現在、ファイナンシャル・プランナーは全国で17万5117人おり、そのうち、主婦や学生などによる有資格者が全体の14%に上るということです。



【Vol.37『FPってどんな仕事?』目次】

〔1〕イントロ:「資格取得」でお金の問題は解決できるのか?

〔2〕本文:「FPってどんな仕事?」〜人気の資格に隠された素顔とは〜



1、FPとは、普段は何をしているのか?

◎FPの主な役割

◎FPの資格はどれくらい役に立つのか?



2、イメージが先行しているFPの現状

◎FPの主な収入源とは

◎FPも自分が売っているもの以外はわからない



3、「FPの実像」に迫る

◎企業系FPの限界

◎なかなか求められる経験が積めないFPの現状



4、「自分の利益を優先する」FPがいる?!

◎FP実例1:保険編

◎FP実例2:不動産編



5、FPをうまく活用する方法

◎失敗しないためにはどうしたらいいのか?

◎FPに相談するメリットとは



6、「お金の専門家」が本業で食べられないワケ

◎なぜ、多くのFPは本業で食べられないのか?

◎どのようなFPなら信用してもいいのか?



7、あなたは「人を動かせるか?」



★本日のワンポイントアドバイス☆★

良いFPを選ぶためのチェックリスト4+4

〔3〕次回予告(予定):「2017年はどうなる?」〜激動の時代を生き抜く知恵〜

〔4〕セミナーのご紹介:ご好評にお応えして、仮想通貨口座開設セミナーやります!

〔5〕今週のQ&Aコーナー:事業を起こす際に必要な「3つの要素」とは?

〔6〕今週の気になるトピックス:「同一労働同一賃金」の問題は、「正規か非正規か」だけじゃない

〔7〕編集後記:古ぼけた1枚の写真に想いを馳せる



◆〔1〕イントロ:

「資格取得」でお金の問題は解決できるのか?

 通信教育大手のユーキャンが2016年11月に行なった「2017年に武器になりそうな資格」の第1位に、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)が選ばれています。

2017年に「武器になる資格」とは?

 実際、FPが武器になっているのかというと、上の記事によれば、採用担当者が「採用時に重視している資格」として挙げているのが、1位「TOEIC(R)テスト」44%、2位「FP」32%、3位「宅建士」30%です。これで見る限り、FPの資格は就職・転職に一定の効果があると言えるでしょう。とはいえ、すでに全国に有資格者が17万人以上もいて、今後も取得者数が増えていくFPの資格は、かなりの過当競争であるのは間違いありません。

 FP技能検定は、毎回3万人以上の人が受験する人気の資格です。ところで、その資格を取得することによって、一体どれくらいの費用対効果が見込めるのでしょうか?

 現在、FPには国家資格であるFP技能検定と、それをベースにしたAFP、CFPと3種類の資格があります。

※FP技能検定とAFP、CFP関係図

(NPO法人日本FP協会より引用)

 技能検定には1〜3級まであり、就職時などで有利になるためには、2級以上を取る必要があります。一般に、3級を取得するのに150〜200時間、2級は400時間程度かかるとされており、仕事が終わって疲れた体で、毎日これだけの時間を勉強に費やすのは大変なことです。

 さらに、お金もかかります。FP技能検定は、3級取得に6000円、2級以上になると実技、学科で9000円ほどかかり、AFPやCFPを取得するにも同じくらいのお金がかかります。また、資格取得のためにかかる教材費や学費もバカになりません。スクールに通えば、半年で20〜30万円は必要で、通信教育でも6、7万円はかかります。

 単純計算でサラリーマンの時給を2500円とした場合、2級を取得するためには、400h×@2500円+授業料20万円=120万円くらいは最低でも費やすことになります。資格取得の費用対効果などについては、Vol.30「資格取得」でも特集しましたが、お金から自由になることを目指している我々としては、これだけの投資を行うことによって、どれくらいの効果があるのかを考える必要があります。

 これで本当に将来への不安が払拭されるのであれば、確かに安い買い物かもしれません。ですが、FPの資格取得でわかるのは、「自分が将来いくら必要なのか?」とか「現状分析の方法」などだけです。具体的な数字が見えるようになるという意味では、大事な一歩かもしれませんが、肝心な「お金を増やす方法」までは、FPの資格だけではわからないということなのです。

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