「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(下)~もしもの時に慌てないための相続税対策とは~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.69

「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(下)

~もしもの時に慌てないための相続税対策とは~

 こんばんは。俣野成敏です。

 人は、一人では生きてはいけません。通常、どんな人にも必ず家族がいるでしょう。誰にとっても家族とはかけがえのない存在である一方、あまりにも身近すぎて、かえってぞんざいに扱ってしまうこともあるかもしれません。

 本人にとっては家族であることが明白であっても、たとえば婚姻届を出していなかったりすると、やはり法律上では扱いが異なるのも事実です。夫婦同然に暮らしていながら、諸事情により婚姻届を提出していない連れ合いのことを「内縁」と呼びます。

 法律婚と内縁関係のもっとも大きな違いとは「相続権がない」ことです。たとえば被相続人が亡くなったことによって、疎遠になっていた前の配偶者との子供に相続権が発生し、そのために内縁の方が困難な生活を強いられるような事例も見られるようです。今は相続に関しても、内縁の方が住居などを不当に追い出されることのないよう、ある程度は配慮されていますが、それでも一部の税制優遇などが受けられなくなります。

 他ならぬ家族のことですから、自分が元気なうちに後々のことも考えて、きちんと準備をしておいてあげたいものです。



【Vol.69『生前贈与(下)』目次】

〔1〕イントロ:「にわか節税」話にはご用心!

〔2〕本文:「生前贈与に向き合う時代がやってきた!」(下)〜もしもの時に慌てないための相続税対策とは〜

1、贈与を成功させるためのコツ

 ◎「贈与」と見なされるための2つのポイント

 ◎贈与で大切なのは「全員の納得感」

2、手残りを増やすための贈与対策

 ◎信託を使用しての贈与対策

 ◎より「攻め」を意識した贈与対策とは

3、贈与が家族の絆を強くする

★本日のワンポイントアドバイス☆★

☆今週の宿題★☆

 「自分の贈与」について考えてみよう

〔3〕次回予告(予定):「人類未曾有の超高齢化社会の行く末とは?」(上)〜少子高齢化時代の「リタイヤ」を考える〜

〔4〕今週のQ&Aコーナー: 上場している仮想通貨なら信用できる?

〔5〕ニュースのビジネス的着眼点:「経済が回復基調にある欧州」は本物か?

〔6〕編集後記: シンガポールで『仮想通貨』書籍出版のプレイベントを開催!

〔7〕今後の特集スケジュール: 2017年9月〜10月予定



◆〔1〕イントロ:

「にわか節税」話にはご用心!

 金融・投資の世界では、常に詐欺師が私たちの隙を狙っています。もちろん、相続・贈与に関してもその例外ではありません。ダマす目的で近づいてくる者は論外にしても、実はそれ以外にも、販売者が税金の知識や仕組みをよく理解していないがために、たとえ故意ではなくても、「結果的に詐欺と同じ」という事例も多発しています。

 以前、私のところに持ち込まれた案件で、あるファイナンシャルプランナー(FP)から、海外の保険に絡んだ相続税の節税を指南されていた方がいました。その方が当マネースクールを訪れたのは、もともとご自身のポートフォリオのバランスを見てもらうことが目的でした。拝見させていただいたところ、その中にご相談者とご子息の共同名義で加入している海外保険があり、支払い方法はご相談者のクレジットカードから毎月引き落とし、という契約になっていました。

 内容に違和感を感じたため、詳しく伺ってみると、保険商品を紹介してきたFPから、「この保険は共同名義でのお申し込みが可能ですから、ご両親が共同名義人でなくなれば、そのまま息子さんに贈与することができます」という提案を受けていました。しかしこの商品の場合、加入者がご自分の保険商品に、自分で積立をしているだけであり、積立時点では贈与の形にはなっていませんでした。

 最近、相続税の適用範囲の拡大により、多くの人が「相続税を払いたくない」「何とか節税したい」と考える余りに、“にわか節税”の話に惑わされる事態が続出しています。販売員の理解不足とも相まって、こうした顧客のニーズや、目的に沿っていない提案が増えていますので、くれぐれもご注意いただければと思います。

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