自分の意見とは何だろうか?~武田邦彦集中講座 意見を決める順序~

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◆自分の立場を悪くすることも。意見を感情から述べる人々の思考プロセス

何か事件やちょっとしたことが起きた時、そのことに対する自分の意見を反射的にすぐ決める人がいる。それも心の中で決めるだけなら良いのだが、「それはおかしいよ!」などとすぐ口に出す人も多い。また、「なんでも反対」という人もいて、他人と話しているときに「いや」とか、「違うよ」というのが接頭語になっている場合もある。

社会で起こる事件やものごとはそれほど簡単でも単純でもない。特に人は「自分が正しいと思う」という判断をもとに言動を起こすので、自分にとっては違うと思っても、そのことを言ったり行動したりしている本人は「正しいと思っている」というのが普通なのだ。

このように、すぐ自分の意見を口に出す人は、第一に事実をよく確認していない場合が多く、それでミスをしたり、第二に他人の言動を否定することでだんだん立場を悪くすることもある。

「意見の作り方」というのは結構、むつかしい。

まず、第一に「事実」を確認することだ。その時すぐに確認ができなければ、意見を言うのを保留したり、「それ、どうしたの?」とまず質問から始める。このようなことは日常的には数多くあるが、たとえば森友学園の問題を取り上げると、「安倍首相の奥さんが「進めてほしい」と言った」というニュースを聞いて「首相夫人ともあるものが、なんて軽はずみをするのか!」とすぐ判断する人もいるが、よくよく聞いてみると「ある人が「安倍首相の奥さんがこういった」と話しているだけで、当の本人の奥さんは否定している」ということだった。

このように事実をよく確認せずに、直観的に判断すると、その「直観」とは、

1)それまで自分が考えていることを補強するので納得しやすい

2)自分の得になる方向である

などによることが多い。

またさらに信頼できる判断をするということになると、聞いた事実を自分なりにちょっと後ろに下がって考えなおしたり、計算したり、調査したりすることも大切だ。筆者のようにテレビなどでコメントすることが多い場合は、かならず調査、計算などをして、「人の言ったことの受け売りをしない」という原則で臨んでいる。

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