企業が人を採用する基準とは? ~来るべき「人材争奪戦」に備える~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.47

企業が人を採用する基準とは? 

~来るべき「人材争奪戦」に備える~

 こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 最近、ビットコインの普及が加速してきているようですね。(2017年)4月5日、家電販売大手のビックカメラがビットコイン決済を店舗に導入すると発表。海外観光客などをターゲットに、「顧客の利便性を考慮した結果の判断」だということです。

ビックカメラがビットコイン決済導入 国内大手小売り初

 他には、仮想通貨関連のサービス開発を行なっているテックビューローがマネパカードと連携し、同月19日より「ビットコインによるチャージ機能を提供する」と発表されるなど、ビットコイン決済に対応する動きが活発化してきています。

 ビットコインの詳細については、Vol.32、33「仮想通貨」をご覧いただければと思います。まだご存じない方のためにお話しますと、ビットコインとは「仮想」の名が示す通り、実体のない通貨です。その正体とは、暗号化した取引記録を連ねた電子データのことです。

 ところで、かつてこのビットコインを本物のコインとして鋳造した人がいます。元来、ビットコインとは管理主体を持たない通貨です。つまり、国が発行している通貨のように、その価値を保証してくれる人が存在しません。だったら一体どうやって、代わりにその価値を担保したのだと思いますか?思い浮かぶ答えとしては、「価値の分だけ金などを混ぜる?」それでは意味がありませんね。当然、大手金融機関が発行したワケでもありません。

 実は、このコインはビットコインの暗号を解く解除キー(暗証番号)が書かれた紙片が中に埋め込まれていました。「この解除キーを使えば、システム上で指定された金額分の取引ができる」ということでリアルビットコインの価値を担保していたワケです。「開封してしまうとコインの価値はなくなるけれど、開封せずにいれば、通貨として使える」というからくりでした。

 しかしそうなると、このコインの利用者は、前提として「本当にこの中に解除キーが入っている」と信じる必要があります。加えて、そもそも論として「コインの発行者を信用できるかどうか?」という問題がありました。なぜなら解除キーを知っている発行者が、先にビットコインを使ってしまっている可能性もあったからです。

 現在、このコインはすでに製造されていないようですが、「お金の本質とは何か?」を知る上で、なかなか興味深いエピソードなのではないでしょうか。



【Vol.47『人材採用』目次】

〔1〕イントロ: お金には「2通りの流れ」がある

〔2〕本文: 企業が人を採用する基準とは?~来るべき「人材争奪戦」に備える~

1、企業とは「人に始まり人に終わる」

 ◎採用とは本来、「ビジネスオーナー」の領域に入る仕事

 ◎企業と応募者の間でミスマッチが生まれてしまう原因



2、「成功する採用」のポイント

 ◎採用とは、99を捨てて1に選んでもらうこと

 ◎欲しい人材を絞り込む方法



3、「相手に本音を話してもらえる」面接テクニック

 ◎優秀な人に自社を選んでもらうための2つのアプローチ

 ◎相手の望みを聞き出す3つの質問



4、ありがちだけど「やってはいけない」ダメな採用

 ◎「使いやすそうな人」を採るのはNG

 ◎ダメな採用の中でも、もっとも「してはいけないこと」



5、「人」は今後も、仕事の成否を左右するモノであり続ける

 ◎自分が成長すれば、採用のレベルも上がる

 ◎採用に関われない人はどうしたらいいのか?



6、人材を扱う上で役立つ考え方

 ◎なぜ会社には「できない上司」がいるのか?

 ◎マネジャーを育成する際に考慮すべき4つのパターン



7、「人を採用」してからが、本当のスタート



★本日のワンポイントアドバイス☆★

 俣野の3つの採用基準

〔3〕次回予告(予定):マネースクール1周年記念!~医師すらお金に困る時代のマネー対策~

〔4〕今週のQ&Aコーナー:不動産を買い増す際には、法人化した方が有利?

〔5〕ニュースのビジネス的着眼点:少し深読みしないとわからない、フリーランス失業保険の本当の意味

〔6〕編集後記:「人は学ばない限り、同じ失敗を繰り返してしまうもの」



◆〔1〕イントロ:

 お金には「2通りの流れ」がある

 Vol.46「実物資産」で、紙幣がもともとは重い貴金属製のお金の代わりに発行された交換証書から始まったことをお話しました。そもそもお金自体が、物々交換の代わりとして発展してきたことはご存じの通りです。現在、私たちの生活は、お金なしでは普通に生活できないくらいになっています。それだけ「お金は大切」ということです。

 さて、そのお金についてですが、実は2通りの流れがあることに、あなたはお気づきでしたでしょうか?その流れとは「ルールで動くお金」と「本質で動くお金」の2通りです。

「ルールで動くお金」とは、「約束だから支払うお金」という意味です。たとえば、たまたま入った飲食店の料理が美味しくなかったとしても、席に座って注文した以上、顧客は「代金を支払う」というルールになっています。その代わり「美味しくない」と感じた顧客は、おそらく2度とその飲食店には足を運ばないでしょう。

 本来、顧客はお店に対してお金を払わなければいけない義務はありません。だからお店側としては、「どうしたら顧客を喜ばせることができるのか?」と日夜考え続け、腕を磨きます。もちろん、考えるだけでは足りません。腕を磨くだけでもいけません。商品が顧客のお眼鏡に叶い、価格以上の価値を与えることができ、星の数ほどあるお店の中から選んでもらって、初めて意味をなすのです。これが「本質で動くお金」の意味です。

 これは実は、サラリーマンも同じです。今の世の中、「明日も顧客に選んでもらえる」という保証はどこにもありません。大企業でさえ、経営難に陥る時代です。顧客に選び続けてもらうために、会社は常に変化し、新たな価値を創出していく必要があります。そして、その価値を創出するのは、結局「人」なのです。

 先ほどの2通りのお金の流れを人件費でたとえると、「9時から18時まで会社にいて、言われた仕事をした」対価として支払われるのが「ルールで動くお金」です。それに対して、「会社が期待する以上の成果を出した」対価として支払われるのが「本質のお金」です。

 同じお金であっても、「ルールで支払う」か「喜んで支払う」かという違いがあります。あなただったら、どちらにお金を支払いたいと思いますか?

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