アマゾンに学ぶビッグデータ分析〜CRM:顧客関係性マネジメントは中小企業の強い味方
【なぜ、アマゾンは私に進撃の巨人を勧めるのか?】
進撃の巨人の22巻 が4月に発売される。約4か月に一度新刊が発刊される、進撃の巨人が大好きで、毎巻、出るのを心待ちにしている。
ここのところ、Kindleを開けたら、オススメの漫画のところに、この22巻の予約が毎日のように出てくる。
私は毎回、1日でも早く読みたいので、いつ来るかわからなく、受け取れないかもしれない、アマゾンなどのネット書店では買わず、あらかじめ、わかっている発売日の午前中に、コンビニエンスストアで購入する。
なので、これまで進撃の巨人を、「一回もアマゾンで買ったことがない」のである。
それにもかかわらず、アマゾンは私に、「この本買ったらどうですか?オススメですよ」と、サイトの上の方でオススメしてくるのだ。
なぜ、アマゾンは私が欲しい本をわかるのだろうか?それは、アマゾンが、「私の本に関する好みを推測している」からである。
【どうやって顧客が買いたいものを知るのか?】
進撃の巨人の最新刊を買いたい人は、どんな人だろうか?
まず考えられるのは、これまで、1~21巻を買った人である。22巻を心待ちにしているひとだ。
しかし、これまで私は、アマゾンで進撃の巨人を買ったことはない。では、なぜわかるのか?
アマゾンのようなネット通販では、顧客が、いつ何を買ったのかが細かくわかる。そのデータから、これまで Aという本を買った人が、Bという本を買う確率が高い、という具合に推測することができる。
私の場合、ジョジョの奇妙な冒険や、デスノートをよく買っている。アマゾンは、この2種のマンガを買っている人が、進撃の巨人を買う確率が高い、と推測しているのであろう。
私のこれまでの購買の傾向から、「この人は、進撃の巨人が好きそうだ」と、私に買い物の傾向を推測し、トップページに、レコメンデーションとして出しているのだ。
このように、
- 似たようなマンガを買った人にすすめる
- 進撃のアニメを買った・借りた人にすすめる
など、より購入に近そうな人にすすめると、さらに購入の確率が高くなるであろう。
こういった考え方を、CRM(=Customer Relationshio Management 顧客関係性のマネジメント)という。
アマゾンのレコメンデーションの基本は、この手法を活用して送られている。
【中小企業は何を学ぶべきか】
上記のように、顧客の購入履歴や傾向など、巨大なデータの分析をすることを、「ビッグデータ分析」という。
アマゾンはこの膨大なデータを、システムを開発し、高速度で解析して、レコメンデーションにアップする。
アマゾンのような大企業は、資金や人、時間などの経営資源をかける体力があるが。私たち中小企業は何をすべきか?
少ないデータでいいので、同じ考え方を使い分析すればいいのだ。つまり「スモールデータ分析」である。
昔、タバコ屋のおばちゃんが店頭に来たおなじみさんに、「はいよ、ハイライトだったね」と渡していた感覚と同じである。
新規顧客の獲得は必要だが、既存顧客の再購入をはじめとする、顧客の維持は、同様に重要である。
一度自社製品を知ってもらうと、次回からは、自社のことをゼロから教える必要もない。したがって、新規顧客獲得の場合と比較し、広告宣伝などの、マーケティングコストが低くて済む。
CRMは中小企業の強い味方なのだ。
経営資源に限りがある、中小企業や、新規事業、ベンチャー企業の場合では、考え方をまずは理解し、顧客獲得から、維持への仕組みに生かすとよい。
■目次
… 1. 特集 「思わず買いたくなるアマゾンの売り方」
… 2. コラム 「マーケター的 映画の選び方」
… 3. 書評 「日本最大のビジネススクールで教えているMBAの超基本」
… 4. ワンポイント時間術「なぜ損益計算書の一番上に売り上げがあるのか」
… 5. 著書・イベントのお知らせ
… 6. 編集後記