出る杭がいない? 育てればいいんです!(第44回) 【 やっぱり「普通」ではダメなのだ 】

 以上で中期経営方針の基本を見終えたが、最後に少し補足をしておきたい。

 本質に迫ることができる普通でない企業は、自ずと、本質に迫ることができない普通の企業がやらないこと(人がやらないこと)をやることになる。

 かつてのソニーは、「ソニー流」と呼ばれる「何事においても本質を求めてやまないという流儀」を持つ、本質に迫ることができる普通でない企業の典型だった。だからこそ、「人がやらないことをやる」ことになり、それが徹底的であったから大成長を遂げた。

 だから、根本的に、ソニーは「ソニー流」を取り戻せばいい。そうすれば、再び「出る杭」を求めて「全体最適」を重んじるようにもなる。株主視点重視の経営といった本質から乖離した経営手法に依存することもなくなるだろう。自らもワクワクしながら世界をワクワクさせれば、「規模を追わない収益性重視の経営」もうまく行くはず。

 要するに、ソニーは、「昔」ではなく、「本質」に回帰すればいい。

 そうした視点でみると、ごく最近のソニーには本来の姿を取り戻そうとする傾向がうかがえる。2016年1月に米国で開催された世界最大の家電見本市「CES 2016」では、平井氏が「ソニーはコンシューマー(消費者)に対して、イノベーション(技術革新)を提案し続ける企業である」というメッセージを何度も発し、「B to C」、すなわち消費者向けの製品に力を注ぐ姿勢を強調したという。

 近年の猫も杓子もB to Bを重視する風潮の中、こうした姿勢は本質に迫っている。良い意味で普通じゃない。B to Bのビジネスにおいても、企業が生むべき価値は、目の前の取り引き先企業にとってのものではなく、消費者にとっての価値なのだ。

 また、同年2月に発表した新型スマートフォン「Xperia X」では、「色々な機能を追加する形だけではなくて、お客様が求めている"本質"、エッセンシャルの部分にフォーカスを当てる」としている。

 続く3月にはソニーミュージックが「変人、募集中。」というキャッチフレーズで新卒の募集も開始した。

 そして、6月には、AIBO(アイボ)、QRIO(キュリオ)で世の中をあれだけワクワクさせたのに撤退してしまったロボット事業への10年ぶりの再参入を発表した。

 これらのことが、ソニーの「本質」回帰の象徴であることを祈る。



======================================

「本質」系イノベーション・セミナー(無料) 実施中

「本質」系イノベーション研修(旧称:出る杭研修)に触れつつ、イノベーションを起こすための根本とすべき考え方を「本質」ベースで概説します。

オンラインで45分、全国どこからでも手軽に参加できます。

是非、ご参加ください。

http://sospic.com/seminar/

======================================