女王様のご生還 VOL.103 中村うさぎ

恋愛に「支配・被支配」の力関係が生じるのは、よくあることだ。

そして、支配している側が己の力の快感に酔う、という構図。

もちろんこの世には支配されたいと願う人もいるから、両者の利害が一致すれば、これは何の問題もない。



ただ私が嫌な気持ちになるのは、「独占」や「嫉妬」を己の支配欲と自覚せず、「愛してるなら当然でしょ」などと真顔で正当化する人々である。

それは「愛」じゃないよ、「エゴ」だ。

相手への愛ではなく、自分を愛してるだけだ。

「愛」は支配なんかしないんだよ。独占も束縛もしないよ。



「愛」という言葉がじつに安易に頻繁に語られるこの世界において、「愛とは何か」を今一度、我々は考え直すべきだろう。

それは恋愛に限らず、家族愛も同じである。

愛国心とか同志愛とか、「愛」のつく言葉を口にする人々はたいてい「愛」の本質など考えてない。

「愛」の名のもとに自己を正当化し、エゴや支配欲を満たしているに過ぎないのだ。



真の意味で他者を愛するのは難しい。

我々はそれほどまでに自己愛に取り憑かれているからだ。

愛する者を自分の一部として慈しむ感情は、相手を自分の所有物とみなしているに過ぎず、一個の他者として尊重する気持ちはそこにない。

だから、相手が自分の意に沿わないと、裏切られたような怒りを覚える。

それは、あくまで「自己愛」の延長なのだ。

自分の一部だから大事にしているだけなのだ。

だが、多くの人はそれが「愛」だと思っている。

この続きを見るには

(624文字)

¥200(税込)

購入して続きを読む