「部下の気持ちがわからない」あなたへ ~これだけは押さえておきたい部下マネジメント~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.44

「部下の気持ちがわからない」あなたへ 

~これだけは押さえておきたい部下マネジメント~

 こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 このメルマガをお読みのあなたは、おそらく何かしらのお仕事をしていらっしゃるのではないかと思います。もし、あなたがサラリーマンであるならば、たぶん新人だった頃などに、自社の成り立ちを学んだことがあるでしょう。

 一般に、どのような会社もたいてい最初は1人か、せいぜい数人で始まります。業種や経緯はさまざまでしょうが、だいたいの流れを見ていくと、そこには共通の、あるパターンがあります。

 たいてい、社長がサラリーマンから独立して会社を興す場合、普通は自営業者から始まることがほとんどです。独立する人は、大きく2つのタイプに分けられます。ひとつは営業が抜群に得意なタイプ。もうひとつは手に職を持っているタイプです。社長は有能な人が多いため、「サラリーマンをやっているより、自分で稼いだ方が取り分も多くなる」と考えるワケです。

 ところがせっかく独立して、自分の稼ぎがそのまま自分のものになると喜んだのもつかの間、社長はあっという間に限界に行き着いてしまいます。それは「自分の時間は有限である」という現実です。

 ここで、社長は選択を迫られることになります。それは「会社をこれ以上、大きくするかどうか?」という選択です。もし、大きくしたいのであれば、自分ひとりでは回りませんから、他人を雇わなくてはなりません。そこでどうするのかというと、たいがいはビジネスオーナーとして会社を経営しながら、自らもマネジャー兼社長として働きます。

 ここで必要になるのが「マネジメント」という概念です。マネジメントとは、一言で言うと「会社の資源の最適化を行うこと」です。もともと、会社とは資源(リソース)の集合体です。資材、商品、ブランド、顧客など、すべてが会社のリソースですが、そこには当然、社長を含めた「人」も含まれます。

 誰かを雇う以上、「役割と仕事だけを与えればいい」とはいかないのが人間です。相手をよりよく活かすためには、マネジメントを行わなくてはなりません。それでも社員が数名のうちは、社長が自らマネジメントをしていればこと足りますが、やがてはそれでも足りなくなってきます。

 会社が成長軌道に乗ってくれば、社長はマネジメントすらも部下に渡し、自らは経営に専念するようになります。社長は完全にビジネスオーナーへと移行し、マネジメントを引き継いだ人がマネジャーとなります。これが「中間管理職」の誕生です。

 ここまでご覧いただければお分かりのように、会社が成長していくためには、中間管理職はなくてはならない存在です。会社を組織化していくためにはマネジメントを欠かすことができず、そのためには必ずマネジメントを行う人が必要になる、ということです。



【Vol.44『部下マネジメント』目次】

〔1〕イントロ: 同じ会社の中に「別世界がある」不思議

〔2〕本文:「部下の気持ちがわからない」あなたへ~これだけは押さえておきたい部下マネジメント~

1、新人もベテランも、知っておきたい「雇用主の本音」

 ◎「コスト意識」は経営者発想になるための第一歩

 ◎実は入社時とは「マイナスからのスタート」



2、「育て方がわからない」はこれで解決!

 ◎部下マネジメントの一番の問題は「基準がない」こと

 ◎2:6:2の基準にもとづいて部下に対応する



3、仕事で失敗しないコミュニケーションのツボ

 ◎上司が部下に対してとるべきコミュニケーションは2つだけ

 ◎「個別面談」以上のコミュニケーション手段はない



4、「部下は放っておいても育つ」は本当か?

 ◎事例1:何も言わなくても「育つ部下はいる」

 ◎事例2:アルバイトが問題を起こす原因とは何か?



5、これでもう怖くない!正しく部下と向き合う方法

 ◎人間関係の基本は「インタレスト」と「リスペクト」

 ◎部下に仕事を渡し、自分は「その先を目指す」



6、今後の労働環境とマネジメント

 ◎イレギュラーな部下への対応方法

 ◎同一労働同一賃金は、職場をどう変えるのか?



7、マネジメントを「どう自分に活かすか?」



★本日のワンポイントアドバイス☆★

 チーム内の雰囲気を良くする3ステップ

〔3〕次回予告(予定):「初めての海外投資入門」~これだけは気をつけたいポイント~

〔4〕インフォメーション:「電話コンサル受講者 募集!」~ご自身でポートフォリオをつくってみませんか?~

〔5〕今週のQ&Aコーナー: 南アランドの外貨預金は良い案件だと思いますか?

〔6〕ニュースのビジネス的着眼点:「人間の労働力はAIによって駆逐される?」レジ不要店舗の登場

〔7〕編集後記: 暇つぶしは「フリーペーパー」から「スマホ」の時代へ



◆〔1〕イントロ:

 同じ社内の中に「別世界がある」不思議

 2015年11月、産能大学が上場企業に勤務する課長を対象に行った、あるインターネット調査があります(651人の課長が回答)。

上場企業の課長に関する実態調査

 内容を見る前に、先にアンケート内で使用されている用語について説明しておきましょう。調査結果に記載されている「プレイヤー」とは、仕事上で実務を行っている人のことを指し、「プレイングマネジャー」とは、マネジメントと実務を兼ねている管理職のことを言います。たとえば、プレイングマネジャーとして「営業部の課長をしている」ということであれば、部下のマネジメントをしつつ、自らもクライアントを抱えている、といった具合です。

 上記のアンケート結果によれば、99.1%の課長がプレイングマネジャーでした。彼らが感じている中でもっとも多い悩みとは、「部下がなかなか育たない」42.7%で、将来の希望を聞いたところ、「プレイヤーに戻りたい」と答えている人が14.9%であり、年々増加傾向にあるとのことです。

 課長がこう答える気持ちは、とてもよくわかります。なぜなら、普通はプレイヤーとして優秀だった人が、次にマネジャーとしての指名を受けるからです。優秀なプレイヤーに白羽の矢が立つ理由とは、主に

(1)マネジャーになっても頑張ってくれるという期待感

(2)顧客の喜ばせ方を知っている(自分が知らなければ部下に教えられない)

という2つの理由からです。

 確かに、プレイヤーとして優秀だからといって、マネジャーとしても優秀だとは限りません。逆に、プレイヤーとしては芽が出なくても、マネジャーとしての才能にあふれた人も、おそらく世の中には存在しているでしょう。けれど経営者からしてみれば、平凡なプレイヤーを抜擢するよりも、優秀なプレイヤーをマネジャーにした方が、確率的にうまくいく可能性が高いと考えるのが普通です。

 ここでよくあるパターンというのが、プレイヤーだった人がマネジャーになった後でも、「古き良き栄光」をひきずってしまうことです。部下のいないプレイヤーだった頃の方が、「自由気ままにできて楽しかった」と感じてしまうのです。

 しかしそれは、あたかも海外に行って「何で日本語が通じないの?」と言うようなものです。海外に行けば、その国の法律、文化、言葉があり、行った者はそこに合わせるしかありません。マネジメントも同じように、その世界に踏み入れば、そこにはマネジメントの世界観があり、後はそれを受け入れるかどうかにかかってきます。「自分が動けば良かった」プレイヤーと違い、マネジャーは他人に動いてもらわなくてはなりません。

 そう。マネジメントとは、「プレイヤーとは別の世界」なのです。

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