出る杭がいない? 育てればいいんです!(第17回) 【 売った後でも「商品価値」は高められる 】

 さて、たとえそれが2000年以上も分からなかったことだとしても、「価値とは認識が持つ作用である」と聞いて、それが当たり前のことにしか聞こえない人は多い。事物の本質とは、見極めるのが極めて困難であるにも関わらず、見極めてしまえば、概して単純で当たり前のことなのだ。故に、その重大さは見過ごされがちになる。

 しかし、知られていなかった事物の本質を知ることから、我々は、皆が持っていない考えを多く得ることができる。無論、価値の本質からもだ。

 例えば、メーカーにとって、商品価値は商品を売ったときに最大であり、その後次第に減っていき、壊れたらゼロになると考えるのが常識というものである。メーカーから商品を買う顧客にとっても同様だ。

 しかし、価値が認識の作用であるならば、商品を顧客に売った後でも、顧客の頭の中にある商品についての認識を変えることで、商品価値を高められるという、皆が持っていない考えを得ることができる。

 得られれば、商品を売ったらもう修理しかしないメーカーだらけの中で、商品を売った後に顧客の認識を変えることで、商品価値を高めるメーカーが競合他社を圧倒できるであろうことに気付く。言うまでもなく、顧客は、そこから得られる商品価値が最大になる商品を買うからだ。

 そして、商品を売った後に顧客の認識を変えるには、商品を使いこなすための知恵や、他のお客様はこう使ってこんな得をしています、のような、顧客が商品を買って良かったと思えるような情報をあらゆるルートを通じて提供すればいい。

 しかし、だからと言って、メーカー自身が発する情報に限る必要はない。関連商品を提供する他の企業が発する情報でもいい。さらには、他の顧客が発する情報でもいい。顧客の家族が発する情報ですらいい。

 これまでも、チラシやDM、電子メールやホームページ、CMやSNS等を通じて顧客の認識を変える活動をしてきたではないかなどと思ってはいけない。それらの大半は、これから売りたい商品についての顧客の認識を生むためのものであり、売った後の商品についての顧客の認識を変えるためのものではないはずだ。

 近年、注目を浴びているIOT(Internet of Things:モノのインターネット、ありとあらゆるモノがインターネットに接続する世界も意味する)も活用できる。

 補足しておくと、これまでのIOT活用事例の大半は、効率アップのためのものでしかない。勿論、それらはそれらで意義を持つわけだが、売った後の商品についての顧客の認識を変えるためにIOTを活用できれば、常識破りの変化、すなわちイノベーションを起こすことができるだろう。

 IOTでイノベーションを起こすことを狙う企業は多いが、それができていないのが実態である。是非とも参考にしていただきたい。

 なお、「それは何か」(という問いに対する答え)は、一般的に概念と呼ばれるものでもある。よって、「価値とは何か」は、価値の本質であり、価値の概念でもある。そして、「価値とは認識が持つ作用である」は、皆が持っていない価値の概念だ。

 つまり、商品を顧客に売った後でも商品価値を高められるという、皆が持っていない考えは、皆が持っていない価値の概念が生むものなのである。