「2017年はどうなる?(下)」 ~変わりゆく日本で生きる道~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.39

「2017年はどうなる?(下)」 

~変わりゆく日本で生きる道~



こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

先週(2017年2月)16日、アメリカのトランプ大統領は就任後初の単独記者会見を開きましたが、時々メディアとの間で激しい応酬が交わされるなど、波乱含みの展開となりました。

大荒れのトランプ大統領記者会見

マスコミでは、いまやその名が挙がらない日はないくらい、すっかり時の人となっているトランプ大統領。巷では「いつまで続けられるのか?」とか「早々に罷免されるのでは」「暗殺もありうる」といった話までささやかれている有様です。先行きが危ぶまれている状況ですが、果たして途中で交代させられる可能性はあるのでしょうか?

任期中のアメリカ大統領が退任するには、2通りの方法があります。ひとつは自ら辞任すること。もうひとつは、合衆国憲法第2条第4節にある「弾劾裁判」で負けて罷免されることです。法律には、「大統領、副大統領および合衆国のすべての文官は、反逆罪、収賄罪、その他の重大な犯罪または軽犯罪についての弾劾訴追を受け、有罪判決を受けた場合には、その職を罷免される」とあります。

 過去の事例について見てみると、実際に何度か弾劾裁判が行われたことはありますが、いずれもうまくいってはいません。1867年、リンカーン大統領暗殺後に、副大統領から昇格したアンドリュー・ジョンソン氏が、閣僚の任免に関しての弾劾裁判を受けましたが、一票差で辛くも罷免を免れています。最近では、ビル・クリントン氏がモニカ・ルインスキー事件で弾劾されたものの、有罪評決には届かず逃げ切っています。

「大統領になっても素行が収まる気配がない」というトランプ氏は、一見、「長くは持たないのでは」と見られがちです。しかし私は先日、ある現役新聞記者が開いた座談会に参加する機会があり、そこで「トランプ氏には失脚する理由がほとんどない」という話を聞きました。その記者はアメリカ支局に所属していて、トランプ政権が誕生するまでの成り行きを、現地でずっと見てきたという方です。

 そこで聞いた話によれば、「トランプ氏の暴言は今に始まったことではない。選挙中にも女性への差別的発言を始め、さまざまな問題があったが、それでもトランプ氏は大統領になった。だから逆に余程のことがない限り、大統領から降ろされることはない」というのです。



【Vol.39『2017年予測(下)』目次】

〔1〕イントロ:「時代は変化を求めている」

〔2〕本文:「2017年はどうなる?(下)」~変わりゆく日本で生きる道~



1、「アメリカ新政権発足1ヶ月」の現状

 ◎アメリカに迫る「分裂の危機」?

 ◎治安強化が「反グローバリズム」になるとは限らない



2、アメリカはどう動くのか?

 ◎トランプ流グローバリズムとは?

 ◎今後も、政治がビジネスに介入することは大いにありえる



3、日本の「今」を把握する

 ◎安倍政権が打ち出している政策

 ◎日銀が新たに打ち出した「長短金利操作付き量的・質的金融緩和策」



4、日本における金融環境

 ◎公的マネーが市場を席巻する日本の金融事情

 ◎実は誰もが海外と無縁ではいられない



5、日本で今年、注目される業界の動き

 ◎フィンテック業界はやがて過当競争になる

 ◎太陽光発電の将来性は?



6、世の中の風はどちらに向いているのか?

 ◎今年の狙い目とはどこか?

 ◎今年は、ビジネスをしている人には「追い風」



7、成否を分けるモノとは「時代の流れに乗る力」



★本日のワンポイントアドバイス☆★

 投資家としてアーリーアダプターになるためのワン・ツー・スリー

〔3〕次回予告(予定): 「来たれ!副業新時代!」 ~働き方改革の表と裏~

〔4〕今週のQ&Aコーナー: 企業型確定拠出年金の効果的な運用方法とは?

〔5〕編集後記:

「人をダマすのに必要な2つの要素」とは?



◆〔1〕イントロ:

「時代は変化を求めている」

 話は先日、参加してきた「新聞記者の座談会」の続きになりますが、聞いたところによると、「トランプ氏は自分が本当に大統領になれるとは思っていなかった」そうです。氏は確かに「大統領候補になる」ことは目標にしていて、戦略的にそうなるように画策していたらしいのですが、まさか実際にクリントン氏に勝てるとは、投票直前になるまで思っていなかったのではないかと推測されていました。

 目下、いろいろと騒ぎになっている入国制限令やTPP離脱令、メキシコ国境での壁建設など、これら一連のできごとはトランプ氏が発した「大統領令」からきています。大統領令とは、行政府の長である大統領が、軍を含め連邦政府機関に対して発する命令のことを言います。議会の承認を必要としない「大統領令」と、議会を通過した法案を拒否できる「大統領拒否権」は、大統領が持つ権力の象徴です。

 実のところ、現在実行している大統領令のほとんどが、何の前触れもなくいきなり出されているワケではなく、選挙前の公約を実行に移している段階です。公約を実現したに過ぎないにもかかわらず、「まさか本当にやるとは」という反応が多いということは、いかにこれまで多くの公約が「選挙に当選するための、単なるパフォーマンスに過ぎなかった」のかを物語っていると言えるのではないでしょうか。

 選挙とは、選べばそれで終わりなのではなく、選んだ政策が実行され、それによって世の中が動いていきます。つまり「選ぶ方にも責任がある」ということなのです。

 トランプ氏は、「引くに引けなくなった」というのが正直なところなのかもしれません。サイレントマジョリティーと呼ばれる、「不満を声に出さない」人たちのハートを捉えたということなのでしょうが、思ったよりもずっとその力が大きかったということです。

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