老後NINJAを避けるためにできること~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

老後NINJA(ニンジャ)にならないためにやっておきたいこと

先週ご紹介した私の老後対策のほかに、やっておいたほうがよいことは何かというご質問をいただきました。

そこでちょうど、来月のビジネスジャーナルに寄稿しようと思って書いたものがフィットするかと思い、これをご紹介します。

ちなみにタイトルの「NINJA」とは忍者のことではなく、No Income, No Job or Asset、つまり収入も仕事も資産もないことを意味します。

今後65歳を迎えてNINJAになる人が急増すると言われており、年金支給開始年齢も70歳引き上げ説が出ているなど、無策のままで老後に突入すると、かなりしんどい状況になりかねません。

そこで、今まであちこちで書いてきたことを改めて整理・まとめて、現役時代からできる準備のいくつかをご紹介します。

・年金対策

まずは基本中の基本と言いますか、受け取れる年金の額を「ぜいたくしなければとりあえず生活には困らない」レベルにすることです。

受給金額は減っていくとしても、とにかく「生涯もらえるお金」があることは、ひとつの安心材料となるからです。

そこで、個人事業者は国民年金に、サラリーマンは会社の社会保険に加入しておきます(正社員は強制加入の給与天引きなので、特段意識する必要はありません)。

サラリーマンは恵まれています。なぜなら社会保険は労使折半なので、自分の給料から徴収される金額と同じ額を会社が負担してくれるので、倍の恩恵に預かれるからです。

夫婦ともに正社員を続ければ、将来は支給額が減ったとしても、そう困らないレベルになるでしょう。

なお、40年以上の加入がもっとも有利なので、転職したことのある人などは未加入期間がないか確認し、間に合うなら払い込んで未加入期間を短くすることです。

もうひとつ年金を増やす方法は、繰り下げ受給です。受給年齢を繰り下げれば繰り下げるだけ受給額も多くなり、長生きすることによる老後の金銭的リスクを低減することができます。

現時点では70歳から受給すれば、受け取れる年金額は65歳受給と比べて4割もアップします。(もっとも、自分の寿命によってはあまりお得とはならないケースもあります)ただし、受給年齢が引き上げられれば将来はどうなるかわかりません。

自営業者など厚生年金に加入していない人は国民年金だけで心もとないですから、先週の私の例ではないですが、国民年金基金や付加年金、確定拠出年金、小規模企業共済、セーフティネット共済などにも別途加入し、老後に受け取れる年金を増やすのが順当な方法でしょう。

その中でも確定拠出年金(ideco)は万人にお勧めだと私は思っています。なぜなら、掛け金は全額所得控除なので所得税と住民税が節税され、60歳までは引き出せない制度ゆえに強制的に老後資金が手当てできるからです。

確定拠出年金は一般の会社員でも加入できるので(会社の企業年金制度の内容によって変わる)、余裕があればおススメです。もちろん派遣社員やフリーターでも加入できます。

それでも不安な人で資金的な余力があれば、民間の保険(貯蓄型の生命保険や個人年金保険)をプラスしてもよいでしょう。

ただし確定給付型の保険は、もし将来インフレになれば実質的に目減りしますし、他の金融商品の金利が上昇しても、低い金利のまま資金がロックされてしまうのが欠点です。

とはいえ、払い込み中は保険料控除が受けられ若干の節税になり、確定金額が受け取れるのは安心材料のひとつです。

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