女王様のご生還 VOL.58 中村うさぎ

「ドラクエⅩ」というオンラインゲームを、かれこれ5年以上もやっている。

さすがに飽きて途中で放置したりもしたが、最近は男のサブキャラで遊ぶようになって、これがなかなか興味深い。



私自身は言うまでもなく女だが、このキャラの性別は男なので、周りも男として扱う。

そして私もそれを受け容れてるので、要するに私はゲーム内で「男のコスプレ」をしてるわけだ。

まあ、こういうことは、ネトゲの世界では珍しくも何ともない。

ただ、私を「男」だと思っている人たちの反応が、女キャラの時とは全然違うので、それが私としては新しい発見の連続で、面白くてたまらないのだ。



男キャラだと如実に態度が変わるのは、男たちではない。

女子たちだ。

全ての女子がそうだとは思わないが、私が「男」になってから知り合った彼女たちの多くは、想像以上にウザい(笑)。



たとえば、私が女キャラだった頃の女友達は、みんなサバサバしてて、話しかけられても私が気づかず返事をしない場合にも、文句など言われたことがない。

私もそんなことで文句を言ったことないし、忙しい時はお互い様だと思ってた。

ところが、男キャラになってみると、勝手が違う。

話しかけられても気づかないで返事を怠ると、たちまち「無視したー」「ひどーい」などとクレームが飛んできて、謝ってもしばらくツンツンされるのだ。



そう、彼女たちは「女の子が話しかけたら、相手をするのが男の義務」とでも考えているようなのである。

これには驚いた。

キミたち、どんだけ男に甘やかされてきたの?



一部のフェミニストたちは、「女は常に男に抑圧されている」と主張する。

確かにそういう側面は否定しないが、女だって男に対しての要求が多いこと多いこと!

これ、リアル世界でもこうなのか?

だとしたら、男って大変だぁー!



また別の女性は、知り合ったばかりの私(てか「俺」)に延々と悩み相談してくるんだが、その内容がゲーム内でのセクハラ問題だったりするわけだ。

それも、私から見るとセクハラとも言えないというか、下ネタですらない軽いジョークだとしか思えないので、「こんなのセクハラって言われたら、男って何も言えなくなっちゃうなぁ」と感心することしきりである。



で、私が仕方なくどう答えたかというと、「俺は女性が男の言葉に傷つきやすいのも知ってるし、男が親近感の表現のつもりで言った言葉をセクハラと受け止められて傷つく事例も知ってる。どっちの味方もできないけど、嫌ならそいつから距離を置けばいいし、リアルと違って身体的な暴力とか職場に居づらくなるとかの弊害はないわけだから、バシッと言ってやれば?」であった。

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