「海外銀行口座開設」徹底攻略法!(中)~日本人に海外の窓口は開かれるのか?~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.58

「海外銀行口座開設」徹底攻略法!(中)

~日本人に海外の窓口は開かれるのか?~

 こんばんは。俣野成敏です。

 先日、私が運営しているマネースクールのFacebookコミュニティに、あるメンバーの嘆きが記載されていました。

 その書き込みによると、「所用で日本の大手金融機関から海外送金をしようとしたところ、行員から根掘り葉掘り聞かれた挙句、結局、その銀行から海外送金をすることはできなかった」ということです。

 銀行から言われたのは、「海外送金の目的が『不正な取引等に関わっていない』ことを証明できるだけの書類を提出してください」とか、「送り先の口座利用者が誰なのかを明らかにしてください」といったことでした。書類とは、たとえば取引を交わした契約書、請求書、証明書などの類です。また、口座利用者を証明するために、契約に至るまでに当人と交わしたメールやFAXなどの証拠書類の提出を求められました。

 メンバーはできる限り対応し、追加の書類も提出しましたが、「証明が不足している」と判断されてしまったようです。ところが他のメンバーの中には、別の銀行から送金した際に、そこまで厳しく言われなかった人もいました。現状では、銀行ごとに請求される書類に統一性がないようで、さらに行員によっても対応がまちまちの模様です。

 この方の例で言うと、もちろん後ろめたい理由など一切なく、世界的にも信用力の高い送金先でしたが、「リスクを取りたくない」という銀行の体質や行員自体が海外送金や英文書類に慣れておらず、「分からないことはやらない」という態度に終始していたように感じます。

「日本でもフィンテックの推進を!」と騒ぐ前に、先にそういった体質の改善を行わない限り、日本の金融業界に未来はないのではないのでしょうか。



【Vol.58『海外銀行口座開設(中)』目次】

〔1〕イントロ:「預金の引き出し拒否!」が起きた理由

〔2〕本文:「海外銀行口座開設」徹底攻略法!(中)〜日本人に海外の窓口は開かれるのか?〜

1、「海外銀行口座開設詐欺」とは、どのようなものなのか?

 ◎マイナンバーから完全に逃れるには、日本と完全に縁を切るしかない?!

 ◎「海外口座開設が便利で簡単」なワケ

2、巧妙な詐欺案件に潜むワナとその防止法

 ◎「これ以上ない好条件」の裏に潜む真の目的

 ◎「その投資が本物かどうか?」を見分ける指標とは

3、詐欺に遭わないために「自分の本心はどこにあるのか?」を考える

★本日のワンポイントアドバイス☆★

 海外投資商品のチェックポイント4項目

☆今週の宿題★☆

 投資詐欺に振り回されないように、目的を考えてみよう

〔3〕次回予告(予定):「海外銀行口座開設」徹底攻略法!(下)〜日本人に海外の窓口は開かれるのか?〜

〔4〕今週のQ&Aコーナー: 確定拠出年金の節税ってどれくらい効果があるの?

〔5〕ニュースのビジネス的着眼点:「仮想通貨狂想曲」の火つけ役は日本?!

〔6〕編集後記: 仕事においてもっとも大切なこと



◆〔1〕イントロ:

「預金の引き出し拒否!」が起きた理由

 今から1年ほど前のことですが、当マネースクールのメンバーがネット上で「アメリカで預金封鎖が始まった?!」という記事を見つけ「本当でしょうか?」とFacebookコミュニティ上にアップしてきたことがあります。

 それは、あるアメリカ人がバンク・オブ・アメリカの支店にお金を下ろしに行った時のこと。その人はいつも使っていた銀行の行員から突然、パスポートとグリーンカードの提示を求められ、「それがないとお金が下ろせません」と断られてしまいました。それに憤慨したその方のご家族が「アメリカが預金封鎖をしたんじゃないか」とネット上に書き込んだ記事を和訳したものでした。

 もちろん、アメリカで預金封鎖は起こっていません。それだけ口座管理がうるさくなってきていた、という話です。実は、お金を下ろしに行った人というのは不法移民の方でした。その方は正規のルートで口座を開いていなかったため、個人情報の登録が適正にできていなかったのです。

 その方は善意のあるアメリカ人でも、その人を許してしまうと悪意のあるアメリカ人も口座を持ててしまうことになり、不正な海外送金に使われてしまうかもしれません。それを防止するために、すでに開設していた銀行口座に対してもう一度セキュリティチェックが行われた、というのが真相でした。

 これはKYC(Know Your Customer)と言う個人認証の一つです。万一、銀行がこれを怠っていると判断された場合、ペナルティや多額の罰金を科される他、社会的信用にも大きな傷がつくことになります。銀行側としては、KYCの手順をマニュアル化するためには、どうしても対応が画一的になってしまうのはやむを得ないことです。たとえ顧客に多少不愉快な思いをさせようとも、社会的制裁を受けるワケにはいかないのが実情なのでしょう。

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