「今から不動産って間に合うの?」(上) ~人口減少時代の不動産投資とは~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.49

「今から不動産って間に合うの?」(上)

~人口減少時代の不動産投資とは~

 こんばんは。俣野成敏(またのなるとし)です。

 あるところに、ある大手不動産賃貸仲介店で店長を務めている人がいました。その人を、仮にAさんとしておきましょう。店長になって数年、Aさんは店長になったことを後悔していました。仕事は山のようにあり、部下は全然、自分の思うように動いてくれず、会社からは高い目標達成を要求される毎日。Aさんは、ただの1社員として、お客さんと楽しい日々を過ごしていた昔に戻りたいと思っていました。

 ちょうどその頃、Aさんのお父さんが病気で倒れてしまいます。父ひとり子ひとりだったAさんはやむなく会社を辞め、お父さんの介護にあたります。しかし看病の甲斐なく、2年後にお父さんは亡くなりました。独り身になったAさんは、「出世なんてしてもろくなことはない。自分はまた気楽な1社員に戻ろう」と思いました。

 そこでAさんは役職なしの職種に応募し、再び働き始めますが、昔とは勝手が違うことに気づきます。店長経験者で、同僚の中でも能力が突出していたAさんは、どこへ行っても仲間からの嫉妬を受け、うまくいきませんでした。何より、責任のない仕事をしても、気楽どころか全然楽しくありませんでした。

 ありきたりの仕事に満足できなくなったAさんは、お父さんの遺産を元手に小さな商売を始めます。しかし「以前、店長をやっていたから大丈夫だろう」と思ってやってみると、今度も勝手が違いました。雇われ店長になるのと、自ら経営者になるのとではまったく別でした。Aさんは何度も経営危機に陥ります。ところが、Aさんのお金にならなかったアイデアの中に、キラリと光るものを見た一部の顧客が出資をしてくれたため、事業を続けることができました。

 現在、Aさんの事業は3年目に入りました。その間、離れていった顧客もいたし、従業員に逃げられてしまったこともあります。それでもこうして事業を続けられることに対して、Aさんは見えない力を感じ、「自分には何かやるべきことがあるのではないだろうか?」と思うようになりました。

 過去の自分を振り返ってみると、成り行き任せのことが多かったようにも感じます。けれど最近のAさんは「自分の力が顧客によって活かされている意味を考えるようになった」と言います。

 あなたは、ご自分が仕事をしている意味を、考えたことがありますか?



【Vol.49『国内不動産(上)』目次】

〔1〕イントロ:「才能を発揮する方法とは自分を信じること」

〔2〕本文:「今から不動産って間に合うの?」(上)?人口減少時代の不動産投資とは?

1、不動産業界を取り巻く現状

 ◎自分の強みをもとに起業する

 ◎不動産業界は意外にローカル



2、不動産を通じて「世の中に貢献する」

 ◎不動産業界に訪れる変化の波

 ◎このままでは「医師が足りない時代」がやってくる



3、不動産投資をする前に知っておきたい予備知識

 ◎抑えておこう!不動産投資のメリット・デメリット

 ◎実物資産としての不動産はどうか?



4、不動産投資の「真実」

 ◎「年収が低い人でも不動産で稼げる」は本当か?

 ◎マイホームと投資用物件の購入は同じではない



5、不動産投資で成果を出すために必要な考え方

 ◎年収を上げるには、段階を踏む必要がある

 ◎パートナー選びの鍵は「出口戦略」



6、業者が言わない不動産投資の成功法則

 ◎「長期保有で得をする」は間違い?

 ◎場所はやっぱり「都心限定」なのか?

 ◎地域活性化に貢献するのが不動産業者の使命



7、投資をするだけでは幸せにはなれない



★本日のワンポイントアドバイス☆★

 不動産投資を検討する前の5つの質問

〔3〕次回予告(予定):「今から不動産って間に合うの?」(下)?人口減少時代の不動産投資とは?

〔4〕今週のQ&Aコーナー:ビジネスが経営のピンチに!そこから抜け出す方法とは?

〔5〕ニュースのビジネス的着眼点:掛け声ばかりで実が伴っていない?!働き方改革問題

〔6〕編集後記:まずは寄付する習慣からつくりましょう?!



◆〔1〕イントロ:

「才能を発揮する方法とは自分を信じること」

 ロバート・キヨサキ氏は大ベストセラー『金持ち父さん貧乏父さん』の中で、このように書いています。

「私はこれまでに何千人もの人を教えてきているが、私も含めてそのすべての人に共通していることが一つある。それは、私たちはだれもが大きな可能性を持っていて、たくさんの才能を内に秘めていることだ。それなのに、それを充分に発揮できないでいる。・・・才能を充分に発揮できない理由の一つは自分に対する疑いの気持ちだ。専門的な知識の不足などは障害にはならない」

 キヨサキ氏は複数の事業を持ち、それによって大きな財を築きましたが、その中の一つに不動産への投資があります。1990年代の初め、米アリゾナ州の経済が停滞し、ファイナンシャルプランナーがテレビで貯金を勧めていた頃。キヨサキ氏は妻とともに、株と不動産にお金をつぎ込みました。

 当時は景気が非常に悪かったため、10万ドルの家が7万5000ドルで売りに出されていました。キヨサキ氏が破産・倒産処理を専門でやっている弁護士事務所や裁判所に出向くと、そこでは安くなっている7万5000ドルの家が何と2万ドル以下で買えました。

 キヨサキ氏は友人から200ドルの利子で2000ドルを借りて小切手化。それを弁護士に頭金として渡します。弁護士が売買契約を締結している間に、氏は7万5000ドルの家を6万ドルで広告に出します。家が公的に自分のものになった時点で購入希望者に家を見せ、商談が成立。購入者から買い付け手数料として2500ドルを徴収し、そこから友人への借金を返すと、後は専門業者に任せるだけで、キヨサキ氏は1銭も払うことなく4万ドルを稼ぎ出しました。

 氏はこの手順を6回繰り返し、資産を19万ドル以上増やしたと言います。けれど景気が回復し、他者が参入してきた頃にはその市場から手を引きました。世の人々が自己防衛に走っている時、氏には「チャンスがあちこちに転がっているのが見えた」と言います。なぜそれが見えたのかというと、「お金に関するしっかりとした基礎の重要性をはっきりと認識し、それを確実に築き上げたから」だと述べています。

 キヨサキ氏が不動産投資で成功できた理由とは、

(1)他人がまだ気づいていない時に不動産の可能性に気づいたこと

(2)それに対して果敢に行動したこと

が挙げられるでしょう。

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