食べりんぐトラベりんぐ4:雪見酒に時を忘れるカウンター「おばんざい屋 菜の花」(北海道札幌市)

ススキノの夜は静かだ。

いつもなら2月のこの時季は、札幌雪まつりの雪像見学に繰り出す人々であふれているのだが、今年は雪まつりもオンライン開催。加えて自粛中の飲食店もあるのか、明かりも少ない気がする。

 20歳の時に初めて札幌を訪れてから、どれだけ来ているだろう。少なく見積もっても70回以上になる。ススキノで飲んだのは200日以上だ。時が経つのは早いなあ。

「おばんざい屋 菜の花」はススキノ交差点からほど近い古いビルの3階にある。ビルの入り口を入ると一気に懐かしさがこみ上げてくる。この雰囲気、言葉では言い表せない感情の高まり。





 ちょっと暗めの店内はカウンターと座敷のテーブルがふたつ。カウンターの中を仕切るのは妙齢の美女ふたり。はめ殺しになった高窓からは、舞い上がる粉雪が見える。ああ、いいな。この風景。これを見たくて冬の札幌へ出かけるのだ。

 

 ニシンの切込み、笹身の一夜干し、ポテサラなどのおばんざいをつまみに、限定酒の「北の勝 搾りたて」を飲む。一部ではプレミアがつくほどの酒、ラッキーだった。



 笹身には黒胡椒、ポテサラには鯖の味噌煮が隠し味に使われている。う~~ん、やるな、YUKAさん。



 ススキノにぽっと現れた秘密基地のような店。来月でオープン1周年になります。