「働く人の税金対策」(下)~サラリーマンが節税できる道はあるのか?~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.64

「働く人の税金対策」(下)

~サラリーマンが節税できる道はあるのか?~

 こんばんは。俣野成敏です。

 日本の税制がほぼ現在の形になったのは、1940年(昭和15年)に行われた改正所得税法を含めた税制改革が行われてからのことです。それまで法人税は所得税の中の一部として扱われていましたが、この改革によって所得税とは切り離され、単独の税制として確立されました。また、源泉徴収制度が導入され、勤労所得に対する課税が強化されたのもこの時です。

 1940年の改正によって、所得税は分類所得税と総合所得税に分けられました。分類所得では所得を不動産所得・配当利子所得・事業所得・勤労所得・山林所得・退職所得に分類し、それぞれ異なった税率が定められました。また総合所得税では5000円以上の高額所得者に対して、金額に応じた課税がなされる累進税率が適用されました。5000円とは、今の感覚で言うとだいたい年収1000万円以上に相当するでしょうか。

 もともと、日本では長い間、生産の中心は主に農耕でした。そのため、古来より土地に課税する地租が税の基幹とされ、明治維新以降もそれが引き継がれました。その税制が今日のような姿に改められたのは、戦前の軍事体制下で、すべてを戦費へと振り向けるためでした。

 当時の中央に財源が集中する体制が戦後も継続し、そのまま今日の日本の赤字財政を支えています。



【Vol.64『税金対策(下)』目次】

〔1〕イントロ: サラリーマンに忍び寄る“税包囲網”

〔2〕本文:「働く人の税金対策」(下)〜サラリーマンが節税できる道はあるのか?〜

1、サラリーマンが自分で自分の身を守る方法

 ◎なぜ、サラリーマンの手元にはお金が残らないのか?

 ◎節税は「習慣を変える」ことから始まる

2、他では聞けない税金に関する実践Q&A

 ◎帳簿をつけ始めた後はどうすればいいのか?

 ◎「今さら聞けない」税金についての素朴な疑問

 ・「面倒な手間なく節税できる方法ってありますか?」

 ・「国税ににらまれない方法はありますか?」

 ・「『公平が大事』と言うけど、公務員はちゃんと税金を払っているの?」

 ・「副業をすれば節税になるのでしょうか?」

3、すべては“現状認識”から始まる

★本日のワンポイントアドバイス☆★

☆今週の宿題★☆

 自分の“強み”を事業にする

〔3〕次回予告(予定):「大副業時代のマネタイズ」(上)〜会社のブランドなしに自分で稼ぐ能力の磨き方〜

〔4〕ニュースのビジネス的着眼点: 残業ゼロに向けた取り組みがいよいよ本格化

〔5〕編集後記: ウェブ媒体のダイレクト感はクセになる?!

〔6〕今後の特集スケジュール: 2017年8月〜9月予定



◆〔1〕イントロ:

 サラリーマンに忍び寄る“税包囲網”

 サラリーマンは、基本的に経費計上は認められていません。なぜなら、サラリーマンは代わりに税金を計算する際に「みなし経費」という経費を一律で差し引かれているからです。

 サラリーマンとて、会社で仕事をして、賃金を得るための費用を支払っています。たとえば服装代や自分で使っている事務用品、仕事のために読んでいる新聞図書費などです。ただ、これらの公私を分けたり、領収書をやり取りするのは大変なので、あらかじめ「これくらい使っているだろう」と思われる金額を「給与所得控除」として差し引いているワケです。

 実際は、それ以外に「給与特定支出控除」という経費を付けることも可能です。しかしそれを使うには確定申告をしなければならず、また給与支払者からの証明書等が必要で、要は費用計上しにくくなっています。最近、高額所得者の所得控除枠が2016年、2017年と順次引き下げられ、より一段の負担増となっています。国の財政が厳しい現状では、ここまでお話した税制の構造上、サラリーマンへの課税が重くなるのは自然な流れでしょう。

 国は近年、ますます所得控除の枠を狭める傾向にあります。一例を挙げると、2015年に相続税の控除枠が狭められた結果、特に都心に自宅を持つ多くの家庭で今後、相続税を支払わなければならない可能性が出てきています。

 私たちはこうした状況を前にし、どのように対処すべきなのでしょうか?

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