【MBの"超"思考】amazonやgoogleがオフィス環境に投資する理由

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1.amazonやgoogleがオフィス環境に投資する理由

2.Q&A「好きなことが出来ない人はどうすれば?」





1.amazonやgoogleがオフィス環境に投資する理由

先日、伊勢神宮で正式参拝を行いました。神様の手前まで近づいてお祈りができる正式参拝、事前に申し込みと礼服着用、寄付金が必要な特別なものです。伊勢神宮は内宮・外宮と2箇所ありますが、どちらでも正式参拝をしてきました。蒸し暑くジメジメとした真夏にスーツ着用はなかなかの苦行でしたが、、、科学派な私でも感動するくらい厳かな雰囲気がありました。私だけでなく経営者は「年に1度伊勢まで行って、仕事の経過をご報告する」という方が多いそうです。私は今回新規事業に着手するにあたり、成功祈願のため行って参りました。

私が住む東京から伊勢神宮までは実に300km以上あります。日帰りは時間的に不可能なので伊勢周辺で宿泊することとしました。私はバイヤー時代ビジネスホテル生活が長かったので基本的にどんなところでもストレスなく寝ることができますが・・・伊勢には一つ気になるホテルがありました。それは世界的なリゾートホテルグループである「アマンリゾーツ」が運営する「アマネム」。日本の「おもてなし」の心に感銘を受けた創業者がスタートした「アマンリゾーツ」、その日本における代表的な施設がこの「アマネム」です。

私は10年以上接客業に従事し、また数多くの販売員を教育してきました。また今尚多くの読者さんに「提案する」立場でありそれはある意味まだ私が「接客業」をしていることにもなります。「おもてなし」を世界屈指で考えている「アマンリゾーツ」が一体どんな接客をしてくるのか、これを体感すべく今回は奮発に奮発してこのホテルを選びました。(私は洋服代以外は基本ケチなので随分迷いましたが・・・エイヤッと申し込みました)

つまり今回の旅は「日本の神社の頂点である伊勢神宮」と「おもてなしの頂点であるアマネム」に触れることが目的でありました。



▼どうしてアマネムは田舎でも「最高の人材」を揃えることが出来るのか??

まずはアマネムの話をしましょう。「ラグジュアリーという言葉が霞む」とも言われるアマングループのおもてなしの精神・・・それはスタッフの「笑顔が良い」とか「言葉づかいが丁寧」とかそういったレベルの話ではありませんでした。何もかもが違います。

アマネムは東京ドーム5倍の敷地面積を持つ広大なリゾート施設です。木々が生い茂る中にヴィラ形式で宿泊施設やレストランやスパがあり、そこをスタッフが運転するカートで移動することとなります。

カートで移動している時にスタッフさんとすれ違うことが何回かあったのですが、例外なく全てのスタッフが立ち止まって身体を私の方に向けて笑顔で会釈をしてくれます。「当たり前のことでしょう??」と思うかもしれませんが、よくよく考えてみてください。会釈くらいは普通のホテルでもするでしょう、しかし「立ち止まって、身体の向きを正して」笑顔で会釈できるスタッフはどれだけいるでしょうか。それが一人ではなく全員です。

今回伊勢まで車を使ったのですが、スタッフさんが私の車を駐車場やロビーまで回してくれたりするのはもちろんですが、出かける時にはなんと見えなくなるまで「手を振って」くれるのです。

さらに驚いたことに、車に乗り込むと「今日は暑いですから、お水を入れておきました。」とキンキンに冷えたミネラルウォーターがダッシュボードにセットされているのです。車を出す機会が2回ほどありましたが、そのいずれも同じことをしてくれました。しかも2度目はそれを「わざわざ言わない」のです。「このサービスしたからね!」というエゴは一切ありません、常に「お客様にとってどうすることが心地よい体験なのだろう」と真摯に考える姿勢が伺えます。

レストランで段差を降りる際には、わざわざその場で立ち止まり「ここに段差がございますのでお気をつけて」と示してくれます。

レストランで食事をしていると各テーブルに支配人さんがご挨拶に来てくれました。「いかがですか??不都合ございませんか??」などの会話は当たり前。もっと驚くべきが支配人は家族連れのお客様に対しては子供をあやしはじめ、外国のお客様にはジョークを飛ばし笑いを取り、私の様な理屈っぽいお客様には真剣な話に付き合ってくれたこと。支配人さんには「エゴ」が全くなく、全てをお客様のために、何を求めているのかを的確に判断し、変幻自在に対応してくれました。

また私の名前は全てのスタッフが把握しています。門番である警備員ですら。「お客様」と言われたことはありません、全て名前で呼んでくれます。そして伊勢神宮に行ってきた話を支配人さんに夕食の際にチラリとしただけなのに、カートを運転するスタッフさんから「伊勢神宮に参拝されたと伺ったのですが、今日は暑くありませんでしたか?」と話がある。いつ情報共有しているの??と思うほど。そしてどのスタッフさんも決して堅苦しくなく、ウィットに富んだ気さくな会話を心がけてくれます。それが形式立っておらずとても自然で心地良いのです。

ホテルは洋服屋さんなど比べ物にならないほどに、接客業を真剣に考えているものです。私は接客をする立場として、また接客を指導する立場として多くのホテルに学びに行きましたが、アマネムほど驚かされたことはありません。同じくラグジュアリーホテルの代表であるリッツ・カールトンの「NOと言わない接客」も印象的ではありますが、残念ながらアマネムに比べたらそれも霞みます。(リッツ・カールトンのコンシェルジュデスクはどんな要望にもNOとは言わないことで有名)

・・・しかし考えてもみて欲しいのです。ここは東京ではなく伊勢です(しかも伊勢の端っこ)。大自然と聞くと響きは良いですが、失礼ですが誰がみても「田舎」です。人口も推して知るべし、都内ほど潤沢な人材が揃うとは到底思えません。スタッフさんに雑談ついでにホテルの人材の採用方法などを聞いたのですが、「他から回ってきた人もいるのですが、私は現地採用です」と答えてくれた方がいました。

都内でも見かけないほどの極上の人材を、何故田舎であるこの地で見つけることができるのか。人材育成をする体制があると言っても、50歳をすぎた警備員のオジサンを含めこれだけ多くのスタッフを的確に皆同じように理念を浸透させる技術など本当に存在するのでしょうか。

答えは「教育体制」でも「人材確保の方法」でもありません。

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