話すアウトプット~午堂登紀雄の「フリーキャピタリスト入門」

話すアウトプット

ちょっと中断していた読書のアウトプットですが、書くことと同様に、話すことも、自分の脳にくぐらせて血肉にする有用な方法です。友人や会社の同僚、部下に話す、というのが一般的で、私も良い言葉があれば必ず社員に話すようにしています。

もっと学習効果がある方法は、「本の内容を教える、解説する」というものです。

・社内講師を積極的に引き受ける

・社内勉強会を主催する

・講演の企画を売り込む

という方法があります。講師をするには大変な準備を伴いますから、効果てきめんです。

たとえば「コミュニケーション」というテーマで社内勉強会を開催しようと思ったら、コミュニケーションに関する本を何冊か読み、エッセンスを抜き出し、構造化し、自分の会社や業界にマッチするように加えたり修正したりして、さらには話す練習を何度も繰り返すなど、かなり時間と労力を投下します。その経験こそが、本の内容を自分の中にインストールさせることにつながります。

「社内には勉強会に参加するような人は少ない!」という人は、セミナーに参加して、同じ志を持つ参加者と仲良くなって、一緒に勉強会を開催する、という方法も考えられるでしょう。

また、セミナーを企画・主催している団体に、企画書をつくって売り込むという方法もあります(私もまだ無名のときにやっていました)。

・フィードバックを受ける

自分が発信した情報に対して、他人からのフィードバックを受けることも学習効果があります。

具体的には、自分がまとめたことや、話した内容について、ディスカッションしたり、質疑応答の場をつくったりすることです。

質問や疑問を投げかけられたときには、自分の考えを理解してもらおうと、表現を変えて説明しようとします。

あるいはうまく説明や反論ができないところは、ロジックに甘さがあるところ、考えが練り込まれていないということですから、そういう自分の未消化箇所が明確化され、さらに激しく考えざるを得なくなるというわけです。

また、読書会に人気があるのは、お互いに意見を述べ合うことで、自分の理解だけでは気づかなかった視点や意味合いに気づくチャンスが得られる点です。

たとえば、成功本によく出てくる「メンターを持とう」というワンフレーズ。人によっては、

「身近で目標としたい人に、メンターになってもらえるようお願いする」

と考えるかもしれません。あるいは、

「こちらからお願いするのは自分勝手だから、自分がメンターだと認めた人の言動を観察し、職人技のように見て盗む」

と考える人もいるでしょう。また、

「イチローやプロ棋士の羽生善治さんといった有名人の本やインタビュー記事をくまなく読んで、私淑する」

と考える人もいます。もしかしたら、プロテニスプレーヤーのマリア・シャラポワ選手のように

「自分は自分が強くなった姿しかイメージしていないから、目標にする選手なんていないわ」

と考える人もいるかもしれません。

他者からのフィードバックを受けることは、自分だけの偏った理解から脱却し、多様な視点で一冊の本からたくさんの意味を学べる、という効果があります。

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