もはや「他人ごと」とはいえない?! ~相続・贈与のイロハ~俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編 Vol.31

もはや「他人ごと」とはいえない?!

~相続・贈与のイロハ~

こんにちは。俣野成敏(またのなるとし)です。

最近、銀行の窓口にいった時に、このようなPOPが貼ってあるのが目に入りました。

「相続 ご相談ください」

一見、相続に関することを銀行に相談するのは自然なようにも感じられます。ところが、意外にも銀行の対応は、あまり評判のいいものではないようです。

銀行が相続の現場でトラブル

「霊柩車を追いかけろ」という記事は、少々誇張されているとは思います。この記事だと、銀行員が霊柩車を探して街を歩いているようにも受け取れますが(笑)、実際は、最近の霊柩車は傍目から見るだけではわからないようになっています。

記事の中でいっている、銀行から「追いかけられる人」とは、実際は「あらかじめマークされている人」ということです。なぜなら、「銀行は預金者の預金額がわかっている」からです。

口座名義人がお亡くなりになった場合、銀行は一時的に口座を凍結しますが、その口座を再び使えるように申請してくるのが相続人ということになります。銀行にとっては、その時こそ「営業する絶好のチャンス」です。

銀行が売り込みをかける目的とは、顧客に預金をしてもらうことではありません。もともと預金はしてもらっていますから。銀行は預金してもらうだけでは儲からないので「金融商品を買って欲しい」。目的はそれによって得られる手数料です。

現在、銀行の旧来のビジネスモデルである「預金を集めてそれを投資に回す」という方法では、銀行は利益を上げることが難しくなってきています。新しい収入源として、金融商品販売の市場を探した結果、彼らが目を付けたもののひとつが「相続」なのです。

預貯金を預かっている銀行は、誰がお金を持っているのかを把握しており、大きなお金の動きがあれば察知できる立場にいます。たとえば先日、当マネースクールに相談してきた方の話によると、諸事情でマイホームを売り、入ってきた2〜3000万円のお金をメガバンクに預けていたら、「投資信託を買わないか?と、よく電話がかかってくるようになった」とおっしゃっていました。

このように、我々が意識していないところで「常に我々の資産を狙っている者がいる」ということなのです。

【Vol.31『相続・贈与』目次】

〔1〕イントロ:人口減の日本で、なぜかアパートが増え続けているワケ

〔2〕本文: もはや「他人ごと」とはいえない?!〜相続・贈与のイロハ〜

1、なぜ、日本は「相続税が世界一高い国」になったのか?

◎相続税は「多重課税」

◎世界に逆行する日本

2、相続税の法改正とは何が変わったのか?

◎相続税の改正点1:基礎控除額の縮小

◎相続税の改正点2:税率の引き上げ

◎相続税の改正点3:未成年者控除、障害者控除の拡大

◎改正点4:小規模宅地等の特例の改正

3、「相続税を計算する」

◎課税対象額の算出:第1段階

◎課税対象額の算出:第2段階

◎課税対象額の算出:第3段階

4、相続税を節税するにあたっての注意点

◎不動産評価額は専門家に査定を依頼する

◎債務控除となるもの/ならないもの

5、相続税を節税できるポイントとは?

◎小規模宅地等特例の適用

◎生前贈与するにも税金がかかる

◎不動産を活用する際はデメリットに注意

◎死亡保険はむやみにかけても意味がない

6、相続で失敗しないためには?

◎要点1:なるべく早く対策をする

◎要点2:終活に向けてのライフプランを立てておく

7、相続とは、自分の「生き様」を次の世代へ受け渡すこと

★本日のワンポイントアドバイス☆★

相続について相談できる業者を探すための5ステップ

〔3〕次回予告(予定):

仮想通貨って一体何?〜あなたの身近で起こっている金融革命〜

〔4〕書籍のご紹介:

誰もが「売れる営業マンになりたい」と思っているけれど・・・

〔5〕今週のQ&Aコーナー:

確定拠出年金をスイッチング(預替)だけで増やせる方法ってあるの?

〔6〕今週の気になるトピックス:

1、ビットコインは「第四の通貨」になるのか?

2、若者にとっては、倹約が「当たり前」の世の中

〔7〕編集後記:

映画には、ビジネスのヒントがたくさん詰まっている





◆〔1〕イントロ:

人口減の日本で、なぜかアパートが増え続けているワケ

国土交通省の調査によれば、今年(2016年)9月までの住宅着工戸数のうち、持ち家物件が対前年同月比プラス1.4%だったのに対して、貸家用物件がプラス12.6%という大きな伸びを示し、11カ月連続で増加していたことがわかりました。

今後、人口減少が確実なこの日本で、最近なぜか「賃貸物件が増えている」という謎の現象が起きています。人気が高いはずの東京23区や神奈川県でさえ、アパート空室率はすでに3割を超えているというのに、です。

実は、このような状況になっているのは、昨年の相続税改正によって相続税対象者が増え、結果、節税目的で賃貸経営に乗り出す「にわか大家さん」が多数出現していることが一因になっているものと想像されます。有力な貸出先の見つからない銀行にとっては、願ってもない話です。

しかし、賃貸経営に乗り出した多くの人が、甘い見通しのもとに多額の資金を投じて物件を建てたものの、供給過剰によって空室が増え、採算が合わずに泣きを見る状況に陥っています。このままでいけば、事態はより深刻になっていくでしょう。

金融庁や日銀もこのような現象を憂慮し、今後は安易な貸し出しに対する監視を強化していく模様であることが、関係者からの証言で明らかになっています。

相続税対策は大丈夫?

確かに、相続税は土地のままであったり、現金で持っているよりも建物を建てた方が税金を圧縮できる可能性があります。とはいえ、それは「本当に節税効果があるのかどうか?」を見極めた上での話になります。

たいていの人は、「相続税を節税さえできればそれでいい」と短絡的に考えがちですが、賃貸は「建物を建てたらそれで終わり」ということではなく、維持費や管理費がかかります。

賃貸を持つとは経営するということであり、経営するには「費用がかかる」ということなのです。

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