炭水化物がカラダを老化させる? Part 2

※この記事は、『バーサーカーコラム』2014年3月10日からの抜粋です。

http://www.berserker.jp/column/show/62

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糖化を防ぐためには、血糖値を低い状態で安定させなければならない。しかし糖質をあまり制限したくない場合には、どうすれば良いのか。

まずはインスリン感受性を高めることである。インスリンにはヒエラルキーがあって、通常は筋肉に、次は肝臓に、そして最後は脂肪細胞に働きかける。トレーニーの場合は特に筋肉のインスリン感受性が高くなっており、インスリンの働きが良ければ、血糖値は速やかに下がってくれるわけだ。だから運動そのものに、糖化を抑制する効果がある。また筋肉の物理的収縮や血流の増加が、後述のAMPKを活性化してくれる。

しかしインスリンの働きが悪いと(インスリン抵抗性)、血糖値は高いままになってしまう。運動不足だと、より糖化の害を受けやすいというわけだ。

さてインスリン感受性に関係してくるのが、「アディポネクチン」である。これは脂肪細胞から分泌される生理活性物質、「アディポサイトカイン」の一種。アディポサイトカインには善玉と悪玉があり、悪玉の代表がTNF-αやPAI-1など。これらには炎症を促進したり、血液を凝固させたりして、動脈硬化を促進させてしまう作用がある。

そして善玉の代表がアディポネクチンである。血管壁を修復したり、炎症を抑制したり、またAMPKを活性化したりする作用があるのだ。

AMPKとは何か。これは「細胞のエネルギーセンサー」だと考えると分かりやすい。エネルギーが低下しているとAMPKが活性化し、体脂肪を動員してエネルギーを作り出そうとする。例えば外部からAMPKを投与すると、身体はエネルギーが低下していると判断し、脂肪を燃やそうとしてくれるのだ。運動しなくても、AMPKを投与するだけで体脂肪を燃やすことができるのである。

体脂肪が動員されるということは、持久力を高めることができるということでもある。AMPKはタンパク質でもあるため、薬剤化は難しいのだが、実は1980年代には既にAMPKを活性化させるペプチド(AICAR)というものが登場していて、運動選手の持久力を高めることがわかっている。そのため、「新しいEPO」とも呼ばれているくらいだ。

話題がドーピングのことに逸れそうなので、大急ぎで戻そう。AMPKは細胞にエネルギーを取り入れようとする。つまりインスリンの感受性を高めるように働く。だからAMPKを活性化するアディポネクチンを増やせば、糖化を防ぐことができるというわけである。では、どうすればアディポネクチンを増やすことができるのか。

その一つは「アルギニン」である。またアルギニンを多く含む大豆プロテインにも、同じような効果がある。大豆プロテインには甲状腺を刺激するということの他にも、ダイエットに役立つ作用があるわけだ。

また「杜仲茶」にも効果がある。杜仲の茶葉10gを水の状態から煮出し、沸騰してから10分ほどおくとさらに効果が増すという。