ノーベル賞と科学技術立国~武田邦彦集中講座 今の話題を深く考える(9)



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◆昨今の日本人のノーベル賞受賞者に京大や名大出身者が多い理由

今年もノーベル医学賞に京都大学の本庶佑先生が受賞されました。

かつて、湯川秀樹先生や朝永振一郎先生がノーベル賞を受けた時には、戦争で負けたこともあって、「素晴らしい!日本人がノーベル賞なんて!」と驚いたり、うれしかったりしたものですが、最近は日本人のノーベル賞が毎年のように続き、科学者の私としてもうれしいばかりです。今回は、多くの人が知りたいと思っていることを簡単に解説したいと思います。

1)なぜ、最近、日本人のノーベル賞が多いのか?

戦前から戦後にかけても素晴らしい学者は多く、今から見るとノーベル賞をとったに相違ないという立派な方も多くおられました。金属の本多光太郎先生などもそのお一人でしたが、なにせノーベル賞というのは欧米の賞ですから、まずは論文が英語で出る必要があり、また、何回か欧米の学会で発表しないと選考委員も知らないということになります。

著者が東大のころ、ノーベル賞クラスの先生が多くおられましたが、アメリカやヨーロッパに行く旅費もままならず、自分たちはあきらめて私たち弟子が欧米に行くことに尽力されました。おおよそ1960年代からのことですが、現在のノーベル賞受賞者が70歳代が多いのはそれを意味しています。その意味で、先達の恩は大きいものがあります。

ただ東大はその後、政府や企業などとの癒着が始まり、研究内容は悪くなっていきました。それに対して京都大学、名古屋大学などが外界とあまり接触せずに学問をやってきたので、ノーベル賞(特に個人の研究に対して)の受賞が多くなったと思います。

2)日本の科学教育の成果

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