こないだ夫と夫の彼氏と三人で喫茶店でお茶してたら、近くの席に推定50代後半くらいのオヤジと推定アラサーの女性の二人組が座ってて、そのオヤジのトークに思わず耳をそばだててしまった私である。
会話の内容から察するに、どうやら二人は知り合いではなく、オヤジがナンパして喫茶店に連れてきたらしい。
「俺が声かけた時さ、なんかのセールスだと思った? 思わなかったでしょ? だからついて来たんだよね? うん、俺はあなたに何も売りつけるつもりはない。ただ話をしてみたくてさ」
「はい……」
「俺はまぁ、こういう者でね」
と、オヤジが財布を出したので、てっきり名刺でも出すのかと思いきや、彼はクレジットカードを取り出して、
「これ、わかる? 見たことある? ダイナースのブラックカードね。プラチナカードは見たことあるかもしれないね。でもプラチナはある程度の金持ちなら誰でも持ってる。ところが、このブラックカードは金持ちでも滅多に持ってない。身分審査が厳しくて、誰でも持てるカードじゃないんだ」
クレジットカードで自己紹介……のふりをした自慢話(笑)。
久々に見たぞ、こういうオヤジ!
とっくに絶滅したかと思ってた!
私はすっかりオヤジに夢中になり、夫たちそっちのけで彼の話に集中したね。
さぁ、ブラックカードの次は何だ!
相手はちょっと引き気味だぞ!
オヤジ、その女をどうやって口説く気だ?
「あなたはさ、見かけは女性らしいけど、男っぽいところがあるでしょ。芯が強いよね。うんうん、俺にはわかる」
おお! 分析モードに入ったぞ!
さっきナンパしたばかりのくせして、おまえにこの女の何がわかるってんだ!
それに「芯の強さ」ってのは、べつに「男」の特質じゃねーだろ!
自分が女性差別してることにも無自覚なブラックカードオヤジは、滔々と自説を繰り広げ始める。
「まぁ、芯が強いのはいいことだけどさ。あなたみたいな男っぽさを持つ女性は、いくら女っぽく着飾っても、男にモテないよ。なんでかわかる? 男を立てないからだよ!」
出たぁーーーっ、オヤジのお家芸「説教モード」!!!
しかも、いろいろ間違い過ぎてて、どっからツッコんでいいかわからんわ!
何が「男を立てる」だ!
男を立てたきゃ、女の力なんか借りずに自力で立てろーー!!!
甘えてんじゃねーぞ、ブラックオヤジ!!!!