BDアニメ 厳選!俺流アニメ 第21回『ウィッチクラフトワークス』『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章』

※2014年3月発売号の原稿です。当時公開の劇場映画レビューつきです。

【惹句】クールで無敵のヒロインに護られてみたい! バトルとユーモアの超絶魔法アニメ登場!

●毒入りユーモア感覚で描く どこか不思議な魔法アニメ

 「ハリーポッターシリーズ」の大ブーム以後、「魔法学園もの」は世界的に流行し、ジャンル化した。その中でも日本では「萌え文化」や「ハーレムもの」と融合し、独特の進化を遂げている。

 この『ウィッチクラフトワークス』(原作:水薙竜)も、総勢30人以上の魔法少女たちが平凡な男子学生・多華宮仄に秘められたパワーをめぐって学園を舞台に戦うという、設定だけを取り出せば王道の作品だ。

 ところが本作の印象は実にユニークでもある。超絶なパワーで主人公を敵勢力から徹底的に死守するヒロイン火々里綾火の毅然たる態度と、学園中の女子からモテモテのマドンナぶり。魔法を駆使して次から次へと責めてくる魔女たちの憎めない性格。予想を裏切るような物語展開。軽妙なテンポと思わず笑ってしまうユーモラスな間合いの会話。これにパワフルな戦闘アクションが加わり、実に濃厚で充実した時間が堪能できる作品なのである。

 それもそのはず、アニメ化を手がけたのは『ガールズ&パンツァー』大ヒットの記憶も新しい水島努監督だ。戦いの中にも流れるとぼけた空気感や、笑える部分に忍ばせたシビレるような猛毒は、『侵略!イカ娘』や『よんでますよ、アザゼルさん。』にも通じる水島努監督の持ち味である。

 さらに本作ではモンスターたちの一部がフルCGで描かれ、大量に出現して大暴れするウサギさんや人を石化させるメデューサのヌメヌメした動きなど、バトル映像も見応えあふれるものとなっている。

 魔法少女もの、学園ラブコメ的な要素を新たな持ち味に発展させた本作、ぜひ隅々まで楽しんでほしい。

●かつて時代を変えたポリスアクションアニメが実写化!

 1988年にOVA全6話の30分シリーズとして発売された『機動警察パトレイバー』は、ユニークなキャラとバリエーション豊かな物語展開で大人気となり、その後の流れを大きく変えた。そしてこの4月5日より、実写版の『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章』が、ついにイベント上映される。

 TVフォーマットのエピソード数本を組み合わせたオムニバス形式で第7章(2015年1月10日公開予定)まで公開。そして押井守監督のオリジナル長編劇映画へと飛翔する。すでに報道されている実物大イングラム、特車二課の緻密な美術セットは実に緻密だ。はたしてどんな映像となるのか? 期待は高まる!

【2014年3月1日脱稿】初出:「月刊HiVi(ハイヴィ)」(ステレオサウンド刊)