Create Your Ownスタイルが流行る理由
【アメリカ西海岸での発見~「Create Your Own」】
7月26日から8月8日までの14日間、4か月ぶりにアメリカに行ってきた。
前半がロサンゼルス、後半がシリコンバレーを抱えるサンノゼ。トランプ政権になり、様々な意見が飛び交っているアメリカだが、今回も、まだまだアメリカのパワーと、新しいものを生みだす勢いを感じることが多々あった。
行ったのが西海外ということもあり、道路やショッピングモールには、テスラをはじめとする電気自動車やハイブリッドカーの比率も高く、タクシー配車サービスのウーバーに対抗し、リフトというサービスが多く出回っているため、アプリの使い勝手も向上しているし、価格なども競合的な価格になっている。
そんな中で、目についたのが、飲食店でのカスタマイズサービス。もともと、ファストフードで、ビュッフェ形式で、顧客が好きな具材のサラダを、対面式でプレートにとることができるサービス。
顧客が、自分で選べるので、「Create Your Own」サービスという。
サンノゼの高級ショッピングエリア、サンタナローの中心部にあった「Poke Bar」。
ハワイアンテイストで、生のシーフードと野菜をミックスさせた、テイクアウト中心の「海鮮丼」的なファストフード。ヘルシーなメージからか、行列ができているほどだった。
注文のし方は簡単で、
1. ライスやナチョなどの「ベース」をS、M、Lから選ぶ
2. マグロやホタテ、タコなどの「プロテイン」を選ぶ
3. 「野菜」を選ぶ
4. マンゴーかアボガドの「トッピング」を選ぶ
5. 醤油やポン酢などの「ソース」を選ぶ
といった具合に、それぞれのカテゴリーの中から、自分が好きなものをピックアップし、店員さんに伝えて乗っけてもらい、最後にソースをかけてもらう。
(PokeBarのとても美しいサイトはこちら。)
あらかじめ、組み合わせが決まっているセットもあるのだが、大半の客が、自分で組み合わせを選んでいた。
私や友人も自分で選ぶ方をチョイス。一人$15~17くらいで、おなか一杯になるくらいのボリュームの海鮮丼が出来上がる。
ここのところ流行っているレモネードという店では、同じように対面式で選べるのだが、あらかじめ複数種類作ってあるサラダを、プレートに盛る、というスタイル。これは今までも多くあるのだが、ポケのように、素材から選べるのは珍しい。
と思っていたら、同じモールにあったハンバーガーショップの、The Counter Custom Burgers。六本木ミッドタウンにもあるこちら、イートインができるレストラン形式で、やはり「Create Your Own」のスタイルで、ハンバーガーをカスタマイズできる。
パティとそのサイズを選ぶところから始まり、チーズのせやトッピングなど、7ステップで選び自分の好きなバーガーを創る。
こちらも、早い時間から行列ができているほどの大人気。ファストフードだけでなく、レストランメニューとしてもできるのが魅力だ。
【なぜ「Create Your Own」なのか?】
この2事例に限らず、ユーザーが自分で選ぶことができる、クリエイトスタイルのサービスが人気だ。
ナイキIDというサービスでは、ネットで自分の好きなカラーや靴ひも、など、自分オリジナルのシューズを創ることができる。
ここ数年のITの発展によって、顧客側の要望やニーズが多様化し、さらにハードルも上がっている。
「顧客のわがままが可能になっている」のだ。
これまでのように、企業側が「これがうちのプロダクトです」と出しているだけでは満足しない。
顧客満足に上限はなく、その上を行くことが必要になってきていることの表れであろう。
選択肢を多くすると、スケールメリットを活かすことができなくなり、コストがかさみ、その分価格に転嫁せざるを得なくなる。
こうなっては本末転倒なのだが、このPokeBarでは、サラダバーの様にあらかじめ用意し、対面販売で、スピード持って対応していくことにより、限られた素材数で、その代り組み合わせ数を多くすることで、コスト増を抑えている。
新しいビジネスモデルの構築というよりは、顧客歓喜を促す、ニーズ充足の新手法、といったところか。
ここで忘れてはいけないことは、上記に上げた各店舗がいずれも「美味しい」こと。
ユーザーに受けそうな新しい手法を開発できたとしても、自社プロダクトの質が良くなければ、継続して購入されないし、クチコミも広がらない。
忘れがちになってしまうことも多いが、自社ができる最高のプロダクトを開発したうえで、顧客ニーズに対応する新手法を開発実践すべきなのだ。
■目次
… 1. 特集 「Create Your Ownスタイルが流行る理由」
… 2. コラム 「名古屋といえば派手な結婚式」
… 3. ビジネス書書評「勝率2割の仕事論 ヒットは臆病から生まれる」
… 4. ワンポイント時間術「仕事をサッカーに例えると」
… 5. 著書・イベントのお知らせ
… 6. 編集後記