女王様のご生還 VOL.34 中村うさぎ

最近、フェミニストあるいはフェミニズムというものがどういうものなのか、よくわからなくて混乱している。

以前、フェミニストを名乗る人からツイッターで「あなたのような人がフェミニストを名乗らないでください」と厳しく叱責され、べつに名乗ったつもりはないのだが、フェミの人からそう言われるのであれば私はどうやらフェミではないらしい、と認識した。

その一方で、私に「この腐れフェミ女」と言ってくる人もいるので、どうやら私は反フェミからはフェミニストと認識され、フェミニストからは反フェミニストと思われてるようだ。

要するに、どちらからも嫌われてるんだな、ということは理解した。



私がフェミであるかどうかは、自分で決めることなのか、他人が決めることなのか、まずそこからしてわからない。

「フェミニスト検定試験」でもあればいいのにね(冗談)。



たとえば私は女性が男性より劣ってるとは思わないし、そういう扱いをされることにも我慢ならないが、だからといって「男が全部悪い!」とも思っておらず、特にポルノや売買春といった性的問題は男の性癖や性欲を責めても仕方なかろうと考えている。



それにしても「性の問題」はややこしい。

異性間・同性間で性的対象に性的な眼差しを投げるのはある程度当然のことと思えるが、それがあまりに露骨だったり場違いだったりすると不快なのは確かで、時には脅威を感じたりもするため、そういうのは自粛して欲しいなぁとは思う。

しかしこの「不快」が人それぞれなので、線引きが非常に難しいのも確かである。

何がセクハラで何がセクハラじゃないのか、誰がどうやって決めるんだろう。



私の友人の職場では、男性が女性に「その服いいね」と言ったらセクハラなのだそうだ。

ということは、女性が男性のネクタイ褒めてもセクハラなんだろうな。

でも、べつに性的関心なくても、他人の服が素敵だと思ったら、私はうっかり褒めちゃうけどな。

しかもこれが「異性間」に限定されてるのも面白い。

男性・女性同士が服や体格を褒め合ってもセクハラにならないみたいだが、その場合、ゲイはどうなるの?



また、その職場では、女性が肌の露出の多い服を着るのも、男性へのセクハラになるという。

まぁ、職場にビキニみたいな恰好で来るのはどうかと思うけど、「露出度の高低」はどこで線引きするんだろう?

胸の谷間が何センチ見えてたらアウトとか、スカート丈が膝上何センチまでとか、まるで中高の校則みたいになるのかな。

う―――ん、なんか世の中が「風紀委員会」みたいになってて窮屈だなぁ。

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