「“横目”は合法か?」「“億り人”の真実」『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

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こんにちは

大村大次郎です。だいたいの記事が終わったので、のんびりしていたら、ギリギリの時間になってしまいました。急いで発行しないと今日中に間に合わないので、さっそく本題に入りますね。今回は「“横目”は合法か?」「“億り人”の真実」の2本立てです。

●“横目”は合法か?

アエラで面白い記事が配信されていたので、まずはその記事からご覧ください。

高額的中馬券の脱税裁判で争われたマルサの「横目捜査」の是非

JRAの競馬の的中馬券の高額な払戻金を税務申告せず所得税約6200万円を脱税したとして、所得税法違反罪に問われた大阪府寝屋川市職員、中道一成被告(48)=休職中=。

5月9日、大阪地裁で懲役6月、執行猶予2年、罰金1200万円の判決が言い渡された。中道被告は、JRAが指定する5つのレースを指定する、「WIN5」で、2012年に約5600万円、2014年には、2億3000万円という超高額の馬券を的中させた。だが、的中馬券で得た収入を申告していなかったことで脱税に問われた。

このような、的中馬券の高額な払い戻しをめぐっては、2012年にも、3年間で約30億円の馬券を的中し、払い戻しを受けていた会社員が立件された。会社員はパソコンソフトの予想に独自のデータを加味して、大量の馬券を購入。的中率をアップさせていた。

いわば「投資」の一貫で、馬券の購入費用が「経費」として認められるという判断が裁判所で下された。

だが、中道被告は競馬の予想紙などで買い目を決めて、100円ずつ購入するという極めて「アナログ」な手法で的中させていた。

中道被告は、法廷で脱税したことは認めた。しかし、大阪国税局がなぜ中道被告が高額な払い戻しを受けたことを知ったのか、と疑問視。

大阪国税局が、別の脱税事案で銀行を任意調査した際、「別の情報を盗み見て、偶然、中道被告の高額な払い戻しを発見して、資料を持ち帰った。中道被告は、高額な払い戻しは家族など誰にも知らせておらず、違法収集証拠で無罪だ」と主張した。いわゆる、マルサの「横目調査」と言われる手法を問題視したのだ。

判決では、「大阪国税局の担当者の、別の脱税事案の捜査との関連性があったという主張は信用できない。だが、銀行の了解があり、調査している。違法の程度は重大とは言えない」と中道被告の主張を退けた。

そして中道被告にこうも断罪した。

「被告は寝屋川市役所で課税担当部門におり、納税者の模範となるべき立場。批判は免れない」

「的中馬券の払い戻しを受け、具体的に計算し、納税義務が確定的に生じることを認識していた」

 だが、すでに脱税した金額については、納税を完了させていることが情状となり、執行猶予判決となった中道被告。公務員の職は失わずに、すみそうだ。

(AERA dot.編集部取材班)2018年5月9日  AERA配信

~AERA記事ここまで~



●著者による解説

高額馬券の脱税については、このメルマガでも何度かご紹介してきました。馬券の配当金は、所得税の対象となるため、高額の場合、申告しなければなりません。しかも、個人が趣味で馬券を購入しているような場合、はずれ馬券は必要経費としては認められません。だから、当たったときだけ課税されるということになってしまうのです。コンピュータなどの計算をもとに毎回、大量購入しているような場合は、事業同様と認められ、はずれ馬券を必要経費として認められたケースもありました。でも、普通の人が、普通に馬券を買う場合、それは認められないのです。馬券などのギャンブルの配当金の課税については、このようにいろいろ問題があるところですが、今回はそれがテーマではありません。

今回のテーマは「横目」です。

この記事にあるように、税務署は、横目という調査手法を使って、この脱税を発見していたのです。横目とはどういう手法かというと…税務署には、調査対象者の銀行預金などを調べる権限があります。税務署が銀行に対して、「この人(この会社)の預金を調べたい」と言えば、銀行は拒否できないのです。しかし、この銀行調査は、あくまで具体的な調査対象者が決まってからの話です。調査対象者が決まっていないのに、ただ漠然と銀行のデータを調べることは、禁止されているのです。プライバシーの侵害になりますし、調査対象者もいないのに、いつもいつも銀行のデータを漠然と見に来られると、銀行も迷惑ですからね。

しかし、銀行の取引データというのは、税務署にとっては宝の山です。入金額が大きい人をピックアップしていけば、巨額の収入がある人を見つけ出すことができます。そして、その人の申告を確認し、きちんと申告がされていなければ、「脱税の疑いあり」ということになります。だから、税務署は本音としては、銀行のデータを漠然と調べたいのです。が、先ほども言ったように、それをすれば違法となります。



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