「片山さつき議員の口利き疑惑の背景」「高級外車の売却益を隠す脱税」「海外資産隠しは減るのか?」『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

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こんにちは

大村大次郎です。

最近、税金に関する興味深いニュースがたびたび報じられています。今回のそれらのニュースのお話をしたいと思います。

「片山さつき議員の口利き疑惑の背景」

「高級外車の売却益を隠す脱税」

「海外資産隠しは減るのか?」

の三本立てです。

●片山さつき議員の口利き疑惑の背景

最近の税金関連のニュースでももっともホットなのは、やはり片山さつき氏の口利き疑惑でしょう。この疑惑の概略は次の通りです。

製造業を営んでいた経営者A氏が、税務調査を受け不正を指摘され、2015年7月に税の優遇措置が受けられる青色申告を取り消される事態になりました。A氏は、いろんなところに相談した結果、当時、片山議員の私設秘書だった税理士の南村博士氏を紹介されました。この南村氏が着手金100万円を要求したので、A氏は南村氏の口座に振り込みました。

しかし、2か月たっても、税務署からは何も音沙汰がないので、A氏は議員会館に片山を訪ねました。片山氏はA氏に対して「国税局長に伝えておく」と言ったそうです。

しかし、その後も、音沙汰がないので、南村氏をただしたところ「金は片山さつき氏が持って行った」と言われたそうです。まあ、ざっくり言えば、経営者A氏が片山さつき氏の秘書(当時)に「青色申告取り消し処分」の撤回を依頼したところ、100万円を取ったのに事が成らなかったということです。

この「事件」の大きなポイントは二つあります。一つは、この当時の片山さつき氏の秘書だった南村氏が税理士だったことです。通常、政治家の口利きを担当する秘書というのは、税理士資格などは持っていません。ただただ、政治家の力を使って口利きをするのです。

ですが、今回の場合、秘書自身が税理士資格を持っており、自分の業務として、それを請け負ったというふうにも見ることができます。税理士として、税務署の行き過ぎた処分について納税者から相談を受け、交渉を引き受けたという、解釈もできなくはないのです。そして、税理士として、それは普通の業務でもあります。

ですが、南村氏に依頼したA氏は、「税理士としての南村氏」の腕だけじゃなく、当然、その背後にある片山さつき氏の力もあてにしていたわけです。国会議員ならば、なんとかしてくれるのではないか、ということです。

もう一つのポイントは、この口利きが失敗したということです。実は政治家の圧力によって、国税が税務調査に手心を加えることは、これまでもありました。たとえば、有名なところでは、1990年には香川県内の紙容器製造会社の税務調査で、約1億5百万円の申告漏れがありましたが、当時の与党議員から国税庁に要請があり、高松国税局は会社側と協議し、申告漏れ額は約6千万円にまで減額されたのです。こういう話は、今まで腐るほどあるのです。

実際、筆者も国税調査官時代、調査をしている最中に、上層部から待ったがかかったこともありました。その調査先は、さる有力者とパイプがあったために、国税上層部から私の上司に「税務調査に手加減を加えろ」という指示があったのです。

なぜこういうことが表ざたに出ないかというと、口利きが成功しているケースが多いからなのです。口利きが成功した場合、これを贈収賄などで立件することは非常に難しいのです。議員の側は「国税の行き過ぎを注意した」という言い訳をします。そして、依頼した側は、普通に寄付をしただけであり、贈賄のつもりはない、という言い逃れができます。また国税の側も、政治家からの圧力で、税務調査に手心を加えたなどとは口が裂けても言えません。どこからも、証拠は出てこないし、誰も訴えるものはいないので、相当の極秘データのリークなどがない限り、表ざたにはならないのです。

しかし、今回の片山さつき氏の件では、口利きに失敗してしまっています。だから依頼した方から見れば「お金をだまし取られた」だという気持ちになり、情報リークということになったのでしょう。政治家の国税に対する口利きというのは、どんな政治家でもできるというものではありません。それなりの政治力を持った人、霞が関内部にもパイプを持った人しかできないのです。

片山さつき氏は、大蔵省の元高級官僚でもあり、現役の国会議員でもありますので、一般の人から見れば、国税などに強い影響力を持っているように思われるはずです。が、こういう裏の政治力や、裏のパイプというのは、相当、注意深くやらなければならないので、ただ単に肩書があればいいというものではないのです。

また片山さつき氏は、高級官僚ではありましたが、あまり偉くなる前に辞めていますので、官庁内での影響力はさほどでもなく、また国会議員としてもまだまだ若手であり、それほど発言力のある人ではありませんでした。今回、安倍内閣の目玉として、「若手の女性」を大抜擢して初入閣したわけですが、そもそもはそれほど影響力のある政治家ではなかったのです。

実際、文春の方も、このネタはかなり前から持っていたようですが、入閣する前には公表していないということは、入閣する前はそれほどニュースになる人物ではないと踏んでいたのでしょう。

また、お金を振り込ませていたというのも、片山さつき氏側の未熟さが見て取れます。普通、政治家の口利き料などというのは、「現金」が基本です。現金の場合、最悪でも「もらってない」という言い訳ができますが、振込の場合、完全に足がつきますからね。片山さつき氏のこの疑惑が、これからどう進展するかはまだわかりませんが、片山氏が相当わきが甘かったということは紛れもない事実だといえます。

●高級外車の売却益を隠す脱税

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