今回は「霊能者の脱税」「年金の確定申告不要制度に騙されるな!」「企業からのメダル報奨金にはいくら税金がかかるのか?」の3本立てです。
霊能者の脱税
2月23日の千葉日報に次のような記事が載りました。この記事をまず読んでみてください。
「4800万円脱税で在宅起訴 霊的カウンセラーの女」
悩み相談で訪れた客に霊的な存在と交信して得た情報を伝える「チャネリング」と称するカウンセリングを行い、相談料として得た収入を過少申告して所得税約4800万円を脱税したとして、千葉地検は22日、所得税法違反の罪で市川市の会社員、山本千春氏(48)を在宅起訴した。東京国税局が昨年10月に告発していた。
起訴状などによると、ワークショップや個人面談、メール相談などで得た相談料の売り上げ額を計約1億3千万円少なく申告し、2013年から3年分の所得税計約4800万円を不正に免れたとしている。
山本被告は「千さん」の名前でチャネラーとして活動。1回1万5千円ほどの相談料で個人カウンセリングを行っていたとみられる。
~新聞記事ここまで~
解説
霊媒師や、祈祷師、お坊さんなどは、非常に脱税が多い業種です。というのも、こういう「業種」は、お金をもらうとき、ほとんど領収書を発行しません。しかも、料金は現金でもらうことが多いものです。こういう業種では、お金を受け取って、そのままポケットに入れてしまえば、簡単に脱税できてしまうのです。
では、東京国税局はどうやって脱税を把握したのでしょうか?まあ、脱税を把握する方法は、いくつもあります。この霊能者の場合、ネットで相談を受け付けてから、実際のチャネリングを行っていたようです。だから、ネットの通信記録を見れば、顧客がどれだけいたのか、個人カウンセリングを何回行ったか、などの大まかな数字はでてきます。その数字から逆算して、だいたいの所得を把握したのでしょう。
そして、申告額と開差がありすぎたので、脱税をしていると判断し、より大掛かりな調査を行ったのでしょう。そして預金口座などの資産を把握し、申告額の概略がつかめたので、「脱税の証拠あり」として起訴に踏み切ったものと思われます。
しかし、メールのやりとりなどを介さずに商売をし、もらったお金を預金せずに現金で保管していたり、すぐに使ってしまったような場合は、国税当局の目を逃れることもあります。この霊能者の方も、所得の一円、一銭まで正確につかまれたわけではなく、漏れている収入もあるかもしれません。
霊媒師や、祈祷師、お坊さんの税金の取り締まりというのは、それほど難しいものなのです。それにしても、この霊能者の方、国税が入るということをチャネリングで事前察知することはできなかったんですかねえ