CEATECで見せたシャープの「希望」
今年から「CEATEC」(千葉県・幕張メッセ、9月4日~7日)は「最先端IT・エレクトロニクス総合展」、いわゆる「家電見本市」から「IoTの総合展示会」へ生まれ変わると宣言した。たしかに例年と比べても、出展者(企業・団体)にはベンチャー企業も多数名を連ね、会場は大きな賑わいを見せていた。
しかし今年から生まれ変わると言っても、すぐに出展者全員が同じ方向に舵が切れるわけではない。むしろ今年は、その「過渡期」にあたるのではないかと思った。IoTについては、まだ私自身の勉強不足もあって、CEATECの「IoTの総合展示会」への転身を技術面や企業戦略などから評価できるまでに至っていないので、「まず何よりも、今年のCEATECでIoTに対してどこまで企業が前向きに取り組んでいるかの」という視点からブースを見て回ってみた。
さっそく、プレスセンターでプレス登録を済ませると、幕張メッセの展示会場内の目的のブースへ向かった。私が最初に訪ねたのは、「シャープ」のブースだった。今年、台湾の鴻海精密工業に「身売り」したシャープがどのような展示を試みているかが最初に気になったからだ。
シャープのブースに入ると、中央に円形の空間(広場)を作っており、正面・左右の3カ所には液晶パネルを組み合わせた大きなディスプレイと、その上部の壁に沿って帯状のスクリーンが貼ってあった。
大型ディスプレイにはスマホと繋がったエアコンなどの生活家電の様子が映し出され、それを利用すれば、生活がこんなにも便利で豊かになるとアピールするデモ映像が流されていた。つまり、家電がインターネットに繋がっているという意味でIoTになった家電というコンセプトメッセージなのだろうか。従来の家電製品は、その広場の外側に沿う形で配置されていた。
去年の「CEATEC」の時は「ロボホン」(人型のロボットでAIを搭載したコミュニケーションロボット兼携帯電話)を前面に出す展示の仕方だった。昨年は、製品の一つひとつがそれぞれ別々の方向を向いて情報発信している、という印象だった。しかし今回は…
【目 次】
1.はじめに 他人という「鏡」
2.コラム「深眼」 アップルペイは電子マネーではない
3.ルポ「現代の風景」 CEATECで見せたシャープの「希望」