とくに天才と言われる研究者・技術者、時代の寵児となった起業家や経営者たちとのインタビューを通じて、この世の中には「2種類の人間」しかいないということに気付かされました。
その2種類とは、「スペックで」しか判断できない人間と、本質を見極めようとする人間です。たとえば、人を評価するとき、地位や肩書き、あるいは家柄などに囚われる人と、自分の目で確かめ、見極めようとする人です。
私は、これまで対極にある2種類の人物の目を通して、企業や経営者を見て来ました。そうすることで、いま何が起きているのか、起きつつあるのかを判断する手がかりになったからです。それは、変化を続ける社会、いや変化の本質を見極めることが出来るからです。
以上のような考え、視点のもと、私は取材や執筆活動を行ってきました。いままで私が執筆した記事や書籍類は、すべてこの姿勢のもとで書かれています。それは、私のメルマガ「企業は人なり」でも貫かれています。
立石泰則(たていし やすのり)、ノンフィクション作家・ジャーナリスト。1950年、福岡県北九州市生まれ。
中央大学大学院法学研究科修士課程修了。経済誌編集者や週刊誌記者等を経て、1988年に独立。1992年に『覇者の誤算 日米コンピュータ戦争の40年(上・下)』(日本経済新聞社)で第15回講談社ノンフィクション賞受賞。2000年に『魔術師 三原脩と西鉄ライオンズ』(文藝春秋)で1999年度ミズノスポーツライター賞最優秀賞受賞。近著は『松下幸之助の憂鬱』(文春新書)、その他にも『さよなら!僕らのソニー』(文春新書)や『パナソニック・ショック』(文藝春秋)など著書多数。