【ラーメン官僚かずあっきぃの麺遊記】煮干し中華そば一二三屋

煮干し中華そば一二三屋@西千葉にて、正油らぁめん。

本年10月、千葉市エリアの超実力店『粋や(いなせや)』の店主・小池氏が、満を持して二毛作店を始動。これが、こちらの『煮干し中華そば一二三屋』だ。

今年は、小池店主にとっては激動の1年だったように思う。

復活を果たした場所が建物老朽化のため出火し、西千葉駅前へと再移転。新天地では、これまでとは全く異なる学生を中心とするお客さんへの対応に獅子奮迅。

新天地では麺を完全な手打ちに切り替えるなど、逆境をバネにし、更なるステップアップを実現。

で、今回の夜営業の二毛作店舗化、である。

こうして改めて書き連ねてみると、立ち止まらずに絶えず前へと進もうとするという、小池店主の生き方が透けて見えるようだ。

『一二三屋』においては、屋号が示すとおり、煮干しベースのラーメンを提供。

出汁は、大量の九十九里産の煮干しを、丸1日24時間かけて「πウォーター」に浸し、うま味の粋を搾り取ったもの。

その後、沸騰させないよう気を付けながら、90分程度煮込めば完成。一言で表現すれば、煮干しと水だけで採った出汁ということになる。

大半の工程を「火を入れない水で煮込む」ことで、煮干しのエグ味や苦味をとことん抑え込む一方で、カエシは「千葉」らしく強めのチューニング。

スープを丹念に味わってみると、出汁の「静」とカエシの「動」。そのコントラストが素晴らしい。

カエシを構成するうま味の掛け合わせ方や、舌先に残る甘辛い余韻も好印象であり、率直に申し上げて美味い!

何よりも、食材への愛情がそこかしこに垣間見える調理手法には、ただただ脱帽するしかない。

「夜営業時のラーメンは、日本蕎麦を意識して創っている」とのこと。

地元の製麺所から取り寄せた麺からは、確かに、蕎麦らしいニュアンスもそこはかとなく感じられる。

店主の思想が丼から透けて見える良き1杯であり、気が付けば完食。

ごちそうさまでした!うん、美味かった。