ささやかな、今日の一歩を進めよう(結城浩「ワークスタイル・ライフスタイル」)

毎日、本を書く仕事をしていると、「継続性」についてよく思う。

現代流行の何かに振り回されそうになったとき、私はよくこんなシンプルな問いかけをする。

 「昨年流行していたもの、今年はどうなった?」

とっても流行っていて、いかにもすごいという多くのものが、あっというまに見えなくなってしまう。諸行無常である。

自分の時間を何に投資しようか。来年消え去るものに投資するか、三年もつものに投資するか、永遠に投資するか。

答えは単純ではないし、予想が外れることもある。でも、現代の何かに振り回されそうになったとき、

 「昨年流行していたもの、今年はどうなった?」

と問いかけるのはそれほど悪い習慣ではない。今年流行したものも、来年はほぼ同じ運命をたどるだろうから。

『ナルニア国物語』の作者C.S.ルイスが言ったこんな言葉が好きだ。

 「永遠につながっていないものは、永遠に時代遅れである」

そして、永遠につながるためには現在につながっていなければならない。現在こそが永遠に通じているゲイトウエイである。

過去に縛られている人は多い。現在をないがしろにして未来だけを夢見ている人も多い。もちろん、過去に学ばないのは愚かであり、未来を夢見ないのは虚しい。でも、リアルな行動は現在にしか起こせない。一歩を進められるのは今しかない。

過去に縛られている人は現在の自分を殺している。未来だけを見ている人は現在の自分を無視している。そして、現在の自分を殺し、現在の自分を無視してなにができるというのか。

毎日、本を書く仕事をしていると、「継続性」についてよく思う……それはきっと亡き父の口癖が「継続は力なり」だったからだろう。

今日も、現在の、目の前の小さな仕事に向かおう。

過去に学びつつも。未来を夢見つつも。

ささやかな、今日の一歩を進めよう。

結城メルマガVol.119より)