【ラーメン官僚かずあっきぃの麺遊記】鴨だしらーめん鴨福

鴨だしらーめん鴨福@京王八王子にて、鴨醤油らーめん。

昨年2月、彗星のごとく華麗にオープンし、瞬く間にスターダムへとのし上がった『麺処鴨と軍鶏』。

しかしながら同店は、同年5月、諸事情により閉店。ラーメン好きを大いに落胆させたことは、記憶に新しいところだ。

そんな人気店の店主が数ヶ月間の雌伏を経て、本年1月、満を持して営業を再開。

それが、こちらの『鴨福』だ。営業再開に伴い、屋号とともに、手掛けるラーメンの味も一新させた。

同店の看板メニューは、ズバリ!「鴨だし醤油らーめん」。

『鴨と軍鶏』の頃に提供していた鶏系淡麗の模範解答のような1杯も十分好印象だったが、今回の「鴨だし醤油らーめん」は、それとも一線を画した、店主の顔が見える1杯。

同メニューで用いる鴨の部位は、芳醇なエキスがたっぷりと抽出できる上にうま味のクオリティが高い首の部位のみ。

そんな鴨出汁の滋味が、北海道産昆布のうま味によって末広がりに増幅。

更に宗田節・サバ節など、魚介素材を丁寧に折り重ねることで、立体感のある複層的な味わいを構築することに成功している。

この出汁に和歌山県の名門ブランド『湯浅醤油』による濃口醤油ダレを合わせ、出汁とタレのうま味を凌ぎ合わせている点も特筆に値する。

力強いタレの風味を真っ向から受け止める重厚な出汁が創り出せない限りは実現不可能な構成であり、着実な研鑽の跡を垣間見ることができた。

このスープに合わせる麺は、2種類からチョイスできるが、平打ち麺が圧倒的にオススメ。

「きしめん」のように幅広い多加水麺が、麦の香りを宙へと放ちながら、スープと香味油を大量に持ち上げるサマは、圧巻の一言。

『鴨福』でしか味わえない、足を運ぶ価値のある秀作だ。