今回は「メッシの脱税」と「続・トヨタの大罪」です。
「続・トヨタの大罪」
●資本主義社会で賃金が上がっていないのは日本だけ
先月号では、「トヨタの大罪」についての書きましたところ、けっこう反響をいただきました。おおむね賛同していただいていたようですが、反論もする方もかなりおられたようです。反論される方の主な趣旨は
「資本主義社会なのだから株主を優先するのは当たり前」
「一民間企業であるトヨタに、日本経済の責任を押し付けるのは酷」
というもののようでした。これらの反論に、再反論したいと思います。
まず「資本主義社会なのだから株主を優先するのは当たり前」という論について。資本主義の定義は、人ぞれぞれいろんな考え方があるので、私はそれについては何も言いません。ただ、国際的な常識、慣例として、トヨタのやっていることはどうか、ということを論じたいと思います。
実は、先進国の中で、近年、賃金が上がっていないのは主要先進国では日本だけなのです。OECDのEconomic Outlook 2013年より、先進国の名目賃金の推移(1995年を100とした場合の2012年の賃金)を見てみると、次のようになります。
アメリカ 180,8
ユーロ圏 149,3
日本 87、0
これをみればわかるように、1995年以来、アメリカの賃金は約2倍、ユーロ圏は約1,5倍になっているにもかかわらず、日本だけがマイナスになっているのです。この10数年間というのは、先進諸国はどこもリーマンショックの影響を受けています。だから日本だけが苦しかったわけではないのです。そして、アメリカもユーロ圏も、資本主義国家です。でも、ちゃんと賃金は上がっているのです。日本だけが賃金は上がっていないのです。