●消費税を19%に!財務省の野望
いろいろ世間を騒がせている財務省ですが、このどさくさに紛れて、こともあろうに、消費税の増税を企てているようです。最近、朝日新聞に興味深い記事が出ていたので、まずそれを読んでみて下さい。
「消費税19%に」 OECD事務総長、麻生氏に提言
経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は13日、麻生太郎財務相と会談し、日本の消費税率は将来的に、OECDの加盟国平均の19%程度まで段階的に引き上げる必要がある、と提言した。財務省によると、OECDが文書で19%という具体的な水準を示したのは初めてという。
2019年10月に予定される消費税率の10%への引き上げについて、グリア氏は「適当だ」と話し、麻生氏は「予定通り引き上げられるように努力したい」と応じたという。(2018年4月13日 朝日新聞配信)
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この記事を読まれた方は、OECDから勧告まであったのだから、やはり日本は消費税を上げるべきなのだろう、と思うでしょう。しかし、騙されてはいけません。
OECDは一応、国際機関ではあります。しかし、日本の財務省はOECDに対し、強い影響力を持っているのです。日本はOECDへの拠出金がアメリカに次いで第2位です。そして、OECD内の事務方トップであるOECD事務次長には、日本の財務省出身の河野正道氏が就任しているのです。本来、国際機関は日本の消費税などに関心はありません。なのに、なぜOECDが日本に勧告をしたのかというと、日本の財務省がOECDに働きかけて、日本に勧告を出させたのです。つまり、財務省は、日本国内の不満を抑えるために、「国際機関から勧告があった」という形をとろうとしたのです。
そもそも、消費税というのは、欠陥だらけの税金なのです。消費税の最大の欠陥は、逆進性です。消費税というのは、消費をしたときにかかる税金です。ということは、収入のうち、消費に回す割合が高い人ほど、負担率は高いということになります。低所得者は、収入のほとんどを消費に回さなければならないので、低所得者がもっとも負担率が高くなるのです。
たとえば、年収200万円の人がいるとします。この人は、年収のほとんどは消費に回るので、消費税の負担割合は年収のほぼ8%になります。一方、年収1億円の人がいるとします。この人は、年収のうち2千万円を消費し、後は投資や貯蓄に回したとします。となれば、この人の消費税の負担割合は、年収の1,6%に過ぎません。つまり、年収が低い人ほど、年収に対する負担割合が大きいのが消費税なのです。これを所得税に置き換えれば、この欠陥が見えてきます。もし、年収1億の人に1,6%の所得税をかけ、年収200万円の人に8%の所得税をかけたならば、国民はこぞって猛反対するはずです。こんな不公平な税金はない、と。そして、こういう税金は絶対に、通らないはずです。しかし、これと事実上、同様のことをしているのが、今の消費税なのです。間接税のトリックに誤魔化されているので、あまり文句はないだけであって、実際に負担割合を直視すれば、これほど不公平な税金はないのです。
消費税が導入される前、日本には物品税という税金がありました。これは贅沢品にかかる税金で、現在の消費税の20%程度の税収があったのです。そして、この物品税は国民生活に根付いており、重税感もそれほどなかったのです。贅沢なものを買わなければかかってこない税金だったからです。物品税はごく一部の物品にしかかかっていなかったので、この範囲を広げることで消費税程度の税収は得られたのです。
しかし、この物品税は、消費税導入とともに廃止させられました。物品税の廃止には、国税職員さえ疑問をもちました。物品税は、税の徴収システムが完全に出来上がっており、これを廃止して消費税を創設することは、税の徴収の観点から見ても効率が悪かったからです。にもかかわらず、なぜ物品税を廃止し、消費税をつくったのでしょうか?物品税の対象となる業界から、「物品税を廃止しろ」という猛烈な圧力がかかったからです。
●なぜ財務省は消費税を推奨してきたのか?
財務省はこれまで消費税のことを懸命にプロパガンダしてきました。「消費税は公平な税金」「日本の消費税は世界的に見て低い」財務省は長い時間をかけて、そういう喧伝を続けてきました。だから、ほとんどの国民はそれを信じ込んでいるわけです。しかし、官僚がなぜ消費税を推奨しているのか、というと、消費税が財源として一番、安定しているからです。
官僚の仕事というのは、国の財源を安定的に確保することです。そのためには、消費税はもっとも都合がいいのです。所得税や法人税というのは、景気の動向で税収が大きく左右します。企業の業績が悪かったりすれば、法人税、所得税の税収が大きく下がることもあります。しかし、消費税というのは、それほど景気に左右されません。というのも、景気が良くても悪くても、生きている限り、人は一定の消費をしなければならないからです。どんなに景気が悪くても国民は一定以上の消費を行う、そこに税金をかければ、まったくとりっぱぐれはない、ということです。そこに税金をかければ、取りっぱくれがないのです。また所得税や法人税というのは、政治によって簡単に増減されてしまいます。大きな選挙があるときには、与党の政治家は所得税や法人税などの減税を約束したがるからです。減税をすれば、与党の支持が上がるからです。しかし、選挙のたびに減税をされると財務省として困ります。
その点消費税は、そういう心配がありません。消費税は、国内の取引全部にかかる税金であり、一度、設定してしまえば、そう簡単には減税できません。政治家も消費税の減税は、そう簡単には約束できません。つまり、消費税というのは、安定財源を得るためには、もっとも都合のいい税金なのです。財務官僚は、日本の将来や国民生活のことを考えて、じっくり検討したうえで消費税を推奨したわけではなく、ただただ安定財源が欲しかっただけなのです。
しかし、前述しましたように、消費税は逆進性があり、貧しい人ほど負担が大きいのです。そして、何よりも、消費を冷やしてしまいます。日本は、長い間、デフレに苦しみ、貧富の格差が拡大しています。しかし、これは、実は消費税の導入後に起こったことなのです。消費税が導入されて数年後に日本はデフレに突入し、貧富の格差が拡大し続けているのです。くれぐれも財務省に騙されないでください。