「トヨタの最大の罪」と「なぜマルサの摘発額が減ったのか?」 『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』

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「トヨタの最大の罪」

●トヨタの罪~トヨタの賃金抑制がデフレを引き起こした~

今回も、トヨタ関連のお話をしたいと思います。

トヨタが税金で優遇されてきた事は、4月号でご紹介しました。が、トヨタの日本経済に対する“罪”はこれだけではありません。というより、トヨタはもっと大きな罪を犯しているのです。それは、「賃金抑制」という罪です。

トヨタは、昨今非常に景気がいいのですが、この15年間のうち、ベースアップしたのは、わずか7年だけなのです。特に2003年から2005年までの5年間、ベースアップをまったくしなかった罪は大きいといえます。トヨタは2004年に過去最高収益を上げています。にもかかわらず、ベースアップがなかったのです。

また2015年は、円安などによる好業績のため、史上最高額4千円のベースアップをしたとして話題になりました。が、4千円という額は、賃金の1,1%程度に過ぎません。ということは、消費税アップ分には、ほど遠いということです。つまり、従業員側から見れば、実質的には減収となっているのです。

●その一方で株主には厚い配当

ところで、トヨタは、この十数年間、毎年、1000億円から6000億円もの配当を支払っています。ベースアップがなかった年でさえ、約3000億円の配当金を支払っているのです。7万人の従業員に対して、千円のベースアップするためには、わずか8億円ちょっとの支出でいいのです。つまり、トヨタは、8億円の支出さえ渋ってきたのです。従業員に1万円のベースアップをしても、80億円ちょっとで済みます。毎年、数千億円の配当を支払ってきた企業体力からすれば、毎年80億円の支出などわけはないはずです。

株主に対しては、毎年、毎年、数千億円の配当金を支払っているにもかかわらず、従業員の賃金に対しては、数億円の支出さえ渋る、どれだけケチな会社か、ということです。近年のトヨタは…



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