クライマックスを迎えた米大統領選 暗殺にご注意 蟹瀬誠一の「ニュースを笑え」2016年10月7日号

●クライマックスを迎えた米大統領選

投票日前の米国大統領選挙で最大の山場は3回の候補者同士のガチンコTV討論会だが、じつはその間に1回だけ副大統領候補同士のTV討論会があることは米国以外では意外と知られていない。

当然のことながらそれには理由がある。副大統領職というのは、初代副大統領ジョン・アダムズが「人類が作ったもっとも不要な役職」と嘆いたぐらい閑職だからだ。ホワイトハウスには大統領補佐官がいるから政府の政策にはほとんど関与できない。

その証拠に日本に原爆を落としたことで歴史に名を残したハリー・トルーマンは副大統領だったが、1945年に大統領に昇格したときに初めて自国の原爆開発プロジェクトの存在を知ったほどである。

副大統領府はホワイトハウス内ではなく、小道を挟んだ別棟のアイゼンハワー行政府ビルに設けられているのを見てもいかに軽んじられているかわかるというものだ。

●暗殺にご注意

もちろん活躍した副大統領がいなかったわけではない。記憶に新しいところでは、クリントン大統領に仕えたアル・ゴア副大統領は通信政策改革や環境政策で辣腕を振るった。ディック・チェイニーもブッシュ父政権時代に副大統領として9・11同時多発テロ後の政府存続計画を遂行したことで知られている。

それに、大統領に万が一のことが…

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