本学と末学の違い

昨日、ある受講生から

「仕事をしている目的を見失った」

と相談を受けました。

深い悩みだな、と私は感じました。

良く受ける質問に「もっと早く仕事をする方法を知りたい」だとか「上司から評価を受ける方法を知りたい」などあります。しかし、これらの質問も、先ほどの受講生の「仕事をしている目的を見失った」と同類だと私は考えています。



私はインバスケットを通じて仕事の本学をお伝えしています。学問には二つの種類があります。

「本学」と「末学」です。

まず末学とは、手段を学ぶことです。辞書を引くと、重要ではない枝葉の学問などと出てきます。ただ私は手段を学ぶことも大事だと考えています。例えば、部下への叱り方、これもいくつか手法があり、それを使いこなすことが大事だからです。だから末学といってもバカにしたものではありません。

次に本学です。これは人が幸せに生きていくために必要な能力や人格を学ぶことと私が解釈しています。

例えば人格や人柄、目標を作ったり、そしてそれを達成する意味などを学ぶことです。

先ほどの「叱る」ということが末学であれば、「なぜ叱るのか」を学ぶのが本学です。

これが末学だけ知っていると「叱る」と言う行動が目的となります。

「私は部下を指導した」と胸を張って言い切る上司をまれに見ると、指導することが目的ではなく、部下が自発的に行動を改善することが本当の目的であることを忘れているような気がするのです。

まさに「本末転倒」です。短期の目標を達成する、そして喜ぶ。これは素晴らしいことです。しかし、短期の目標を達成することが本当の目的でしょうか?それは違います。

人はそれぞれミッションを持ち、それを達成するために生きています。仕事も、毎月の給料をもらえるから働いている方は少ないでしょう。何か目的があり働いているのです。その何が目的かを常に考えていれば、本当の目的が見えてくるはずなのです。

仕事をしているのはなぜか?もちろん生きるためでもありますが、私たちが仕事を通じて達成したい目標に到達するためです。でもその答えを明確に持っていない方も多くいます。

仕事を効率的にしたい、スピードアップしたい、これは末学的発想です。

なぜ仕事を効率的にしたいのか?そう考えることで本学的な発想になり、仕事をしている目的を見つけるきっかけになるのです。



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