【無料公開中】串カツ一筋でついに上場! 驚異の利益率の謎を『串カツ田中』社長に直撃【日経CNBC】

串カツ一筋でついに上場! 驚異の利益率の謎を『串カツ田中』社長に直撃

ゲスト:貫啓二(串カツ田中 社長)

連続高値更新! 好調スタートの要因

大阪名物の串カツを主力とした大衆居酒屋を手がける「串カツ田中」(3547)が14日、東証マザーズに上場した。貫啓二社長をスタジオに招き、成長の原動力や上場の狙い、そして今後の経営戦略について聞く。(放映日:2016年9月16日)

八木ひとみ:さて今日は、今週水曜日14日に東証マザーズ市場に新規上場しました、「串カツ田中」の貫啓二社長にお越しいただきました。よろしくお願いします。

貫啓二:よろしくお願いします。

八木:まずは簡単に株価から確認していきます。初値は公開価格を525円上回る4425円となりました。今日で上場3日目となりましたが、連日で高値を更新する動きです。今日の後場は、6490円まで買われる場面がありました。お店自体では「ソースの二度付け禁止」というお話だったんですけれども、昨日はストップ高を二度つけたということで、株価に関しては大変好調なスタートとなっていますけれども、上場をスタートした感想は率直にいかがでしょうか?

:非常に嬉しいは嬉しいんですけれど、やっぱり責任感とか使命感とかプレッシャーがすごいので、あまり社内的にも浮かれているという雰囲気はなくて。本当にこれから一生懸命、株価を上げるためじゃないですけれど、お客さんとも投資家さんとも向かっていかないといけないなと。そういう思いで結構大変です。

パイプ椅子は1,500円 脅威の投資回収スピード

八木:戸惑いもありますけれども、しっかりとした今後の目標を改めて確認された、そんな上場になったと思います。ここで、簡単に「串カツ田中」の事業内容をご紹介いたしますと、東京都内を中心に、大阪名物の串カツを主力とした大衆居酒屋を手がけています。2008年12月に1号店を開店。その後出店数を増やしまして、現在は直営店とフランチャイズ店を合わせて、120店舗以上展開されています。この急成長の原動力、社長ご自身はどんなところにあるとお考えですか?

:本当に今までも串カツというのは、パラパラとは東京でもあったんですね。それがなかなか繁盛していなかったところが多かったんですけれども、タイミングもあるとは思うんですけれど、「田中の味」というのが本当に受け入れられて。我々は住宅街からスタートしていますので、本当にリピートをすごくしていただいて成長できたのかな、というふうに思っているんですけれども。たまたま弊社も、リーマンショックの煽りですごく苦しかった時に創業したものですから、フォーマットがすごく軽くなっていまして。「回収も早く、投資が少なく」というところにも、結構スピード展開できたかな、というところがございます。

八木:「投資が少なく」というのは、私自身もよくお店の方に伺うんですけれども、店内の内装というんですかね、結構簡単な感じですよね。

:そうですね、はい。

八木:すごく入りやすいと思うんですけれども。

:もともと本当にお金がなくてやったのが、パッケージ化されたという感じですので。今でも1500円くらいのパイプ椅子にお座りいただいて、営業しておりますから。そういう部分では、投資がすごく低くなっています。

八木:そういったところも、背景の1つであるんでしょうか。15年11月期決算で売上高の経常利益率が10%と、業界平均を3.4%大きく上回っています。この理由は何だとお考えですか?

:やっぱり投資が少ないというのと、フランチャイズもやっていますから。フランチャイズのほうは1店舗ごとの利益額は減りますけれども、利益率はすごくよくなる。直営店の場合は利益率は下がりますけれども、利益額はフランチャイズさんに比べて3倍くらいになる。両輪で回しているところが、利益率がよくなるところだと思います。

田中愛が強いから、田中の味にこだわりたい

八木:そして、単一業態にもこだわっていらっしゃる、ということですね。

:そうですね。やっぱりいろんなことをするのは、本当に難しいと思っていますし、「串カツ田中」をグッと深掘って……。会社的にも「田中の味」というものにすごく信頼を寄せていて、「田中愛」がすごく強い会社ですから。それをどんどん深めていくことで、追求もしていけると思いますし。効率もやっぱりいろんなことをやるより、本部コストもしっかりとコンパクトにやって。その分、利益で株主さんに還元できたり、お客様にいい商品をお届けするということで還元できると思っていますので。それは本当にコンパクトに深掘りをしている、というふうに考えています。

八木上場の狙い、そして今後の経営計画なども気になるんですが、こちらに関してはいかがですか?

:やっぱり上場を機に、優秀な人材の確保ができるかなと。あとはやっぱり、知名度が向上することによって、地方への展開も随分と楽に進められるんじゃないかな、というふうに考えています。資金調達ができることによって、経営管理もしっかりとして。ここからは、やっぱり今までよりかは……まあ、急加速というのはあまり考えていなくて、「1年で100店舗やるぞ」みたいなことは申し上げないですけれども。今の出店ペースより緩やかに加速はしていくかな、というふうに考えています。

八木:また「串カツ文化の定着」にも力を入れたい、というふうに伺ったんですが、こちらに関してはいかがですか?

:そうですね。創業して間もなく、いろんな失敗がある中で、弊社の副社長の田中と「10年、20年、30年と食べ継がれるような、そういうような飲食企業としてやっていきたいね」ということを考えていますので、串カツがブームで終わらないような、食文化となるような事業にしていきたいなと。やっぱり焼き鳥と串カツを比べると、焼き鳥のほうが定着していると思うんですね。それに匹敵するようなものにしていきたいな、というふうに考えています。

八木:店舗に伺うと、子供連れの方やファミリー層の方も結構多いな、という印象なんですね。自分で潰して食べるポテトサラダだったりとか、自分で握るおにぎりだったりとかがメニューにあったんですけれども、ああいうところはファミリー層を取り込むための施策なんでしょうか?

:まあ、そうですね。そういうのもやっぱり、ちょっと一捻りあるようなメニューがあったら面白いな、というのもあって。お子さん連れが多いので、お子さんをすごく会社では大事にしようとしているんですね。それは我々の長期計画の最重要なところでして。10歳のお子さんが10年後には20歳になって、お酒を飲みに来て、その10年後にはまた家族で帰ってきてくれるかもしれない。10年、20年、30年と食べ継がれるというところを考えて、今お子さんをすごく大事にしている。お子さん1人だと大人よりは単価は下がりますけれど、あまりそこは気にせずに、長期計画実現のために、すごくお子さんを大事にしております。

直営店を増やし、さらに利益額をあげていく

八木:崔さん、いかがですか?

崔真淑(日経CNBCコメンテーター):私から伺いたいのはやはり、これだけ高い株価をつけている背景って、これだけ売上高も利益もともに大きく成長しているところがあるんですが、その成長に大きく影響しやすいのが、直営店とフランチャイズの比率がどう変化していくか、というところもあると思うんですけれども。こういった比率にしたいな、という目標値があったら教えて下さい。

:今現在(直営店が)3分の1くらいで、今後の出店は半々くらいで、比率をジリジリと上げていきたいな、という思いはあるものの、やっぱりどうしてもフランチャイズさんの出店、既存の会社が増店もしていきますから、どうしても多くなってしまうという感じですね。

:なるほど。そうすると、利益額がグッと増えるというのももちろん期待できるものの、利益率の改善というのもまた続いていく、ということですね。

:そうですね。今回の上場の準備でだいぶお金もかかって、本部コストが今11%くらい……若干高めかなというふうに思っていまして。ただ業態は1つですから、売上が伸びても本部がここから膨らんでいくということはありませんので、本部費はこれからゆるやかに下がっていく。で、利益率は更に改善していく、というふうに思っています。

:なるほど、ありがとうございます。

八木:ではおしまいに、番組をご覧の投資家の方へのメッセージをお願いします。

:今回上場させていただくことになりました、ありがとうございます。10年、20年、30年と食べ継がれるような業態にしていこうと思っていますので、投資家の皆さんも長い目でお付き合いいただいて。弊社はいい時も悪い時も、透明性を持ってしっかりと経営していきたいと思っていますので、ぜひ末永いお付き合いをよろしくお願いいたします。

八木:さて今日は、今週水曜日に東証マザーズ市場に新規上場しました、「串カツ田中」の貫社長にお越しいただきました。ここまで、ありがとうございました。

:ありがとうございました。



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