【ラーメン官僚かずあっきぃの麺遊記】八雲

八雲@池尻大橋にて、肉ワンタン麺(白だし)。

言わずと知れた、東京を代表する実力店のひとつ。

本年1月13日、2005年から12年間にわたって営業を続けていた場所から移転を果たした同店。新たな店舗のロケーションは、池尻大橋駅のアクセスがより一層向上。

フロアも建物の2階から路面店(1階)へと移ったことにより、食べ手を迎える態勢は盤石になったと言えよう。

店内のレイアウトも一新された。客席と客席の間がグッと広がり、八雲の1杯がよりじっくりと堪能できるように。

「肉ワンタン麺(白だし)」をオーダーした。

静寂を保つ湖面のように穏やかなうま味を湛えたスープは、ほのかな芳香も相まって、食べ手に鮮やかな印象を刻み込む。

浜田山の『たんたん亭』を祖とするこの系統は、非常に大ざっぱに申し上げれば、『かづ屋』と『八雲』を二巨頭とし、それぞれで修業・独立した店舗を含め、『たんたん亭系』という一大勢力を築き上げている。

個人的な所感になるが、『かづ屋』の系統はトータルバランスで食べさせるラーメン、『八雲』の系統はビビッドなうま味と香りで惹き付けるラーメンを提供する傾向があるような気がする。

明確なうま味と香りは、ハマれば抜群の破壊力を見せ付けるが、少しでも調整が狂うと途端に体感的な印象が低下する諸刃の剣。

そんな難しいチューニングを、やすやすとこなす『八雲』の1杯は、流石は本家と感嘆せざるを得ない。

肉のうま味を思い存分味わうことができるワンタンも極上の出来映え。

無我夢中で麺を啜り上げ、気が付けば丼が空っぽになっていた。