こんにちは!
いかがお過ごしですか?
台風は大丈夫でしたか?
今回は「相続税対策で一番気を付けなくてはならないこと」と「なぜ日本の無電柱化は韓国よりも遅れているのか?」の二本立てです。
■相続税対策で一番気を付けなくてはならないこと
相続税対策で一番気を付けなくてはならないことって、なんだと思いますか?もちろん、課税資産をなるべく減らして相続税がかからないようにすることも非常に大事です。が、元税務署員の立場から言えば、もっと大事なことがあります。
それは、相続資産の分配について、死ぬ前に家族ときっちり話し合っておくことです。相続対策などの本では、よく「遺言書が絶対にあった方がいい」というようなことが書かれています。確かに遺言書はあった方がいいですが、遺言書だけでは不十分です。というのも、遺族が遺言書の内容に不満がある場合は、遺言書の通りになるのは遺産の半分までであり、残りの半分は法定の遺族の権利分で分配されてしまうからです。
そして、遺産の分配に関して、遺族が納得しない場合は、相続税が高くかかったりすることも多々あるのです。たとえば、こういうことがあります。税務署というのは、市民からの密告を奨励しています。「あの人は脱税している」というような情報を、いつでも受け付けているのです。
で、この密告情報で一番多いのが、相続税に関するものなのです。しかも、密告者のほとんどが、親族なのです。どういうことかというと、遺産相続で親族間がもめて、親族同士が疑心暗鬼に陥るわけです。そして、誰かが遺産を隠しているんじゃないか、と疑い、税務署に密告するのです。税務署に密告すれば、税務調査が入る、だから隠された遺産が判明するんじゃないかと考えるわけです。税務署に入られたりしたら、一族の恥にあるはずです。
でも、そこまでしなければ、我慢できない事態になっているのです。実際に、親族の密告によって脱税が発覚したというケースも多々あります。
で、遺産争いというのは、多額の遺産を持っている人だけの話ではありません。雀の涙ほどの遺産しかないのに、それを奪い合うというケースも多々あるのです。相続税の対象になるような遺産はないのに、税務署に密告の電話が入ったりするのです。相続税の対象じゃなければ、もちろん税務署は調べたりしません。となると、遺族はお互いが疑心暗鬼になり、泥沼の“争族”になったりするのです。
こういう具合に、遺産というのは、非常にもめやすいものなのです。兄弟同士が仲が良くて、遺産争いになりそうにはない、と思っていても、それぞれの配偶者が口を出してきて、深刻ないがみ合いになるケースも多いと聞きます。
なので、そういうことがないように遺産などについては、生前に、家族会議をし、あらかじめ皆が納得のいくように説明をしておいたほうがいいと思われます。まあ、「子孫に美田を残すなかれ」という言葉もありますし、遺産など残さずに、上手に使い切るというのが、一番いい死に方だと、筆者は思うのですが。