●オーナー社長は、報酬よりも不動産収入を増やせ
前号では、オーナー社長の報酬は、あまり高くせずに、利益は会社に貯めこんでおいた方がいい、というお話をしました。それは、所得税の税率が上がったこと、法人税の税率が下がったことが主な要因です。
今回は、不動産に関するオーナー社長の報酬についてのお話をしたいと思います。
オーナー社長の場合、会社に事務所の建物を貸したり、倉庫などの土地を貸したりしているケースが多いと思われます。自宅の一部が、会社の事務所になっていることも多いですからね。
その際に、オーナー社長は、会社からあまり賃貸料を取っていないことが多いように見受けられます。賃貸料を多くとると、社長の不動産収入が増えますからね。税金が高くなると思っておられる方も多いようです。
が、これは誤解です。
会社に不動産を貸している場合の賃貸料は、しっかり取っておいた方が、節税になります。というか、不動産の賃貸料をしっかり取り、その分、自分の役員報酬を下げれば、大きな節税になるのです。
というのも、不動産の賃貸料収入というのは、社長個人の収入にはなりますが、この収入には社会保険料がかかってきません。一方、社長の報酬には、社会保険料がかかってきます。前回も言いましたように社会保険料の負担は、約30%ですので、バカになりません。社会保険料は、従業員と会社が折半で支払うという建前になっていますが、オーナー社長の場合、自分の分と会社負担分は、どっちみち自分で払うことになります。つまりは、30%をまるまる自分が負担しなければならないのです。
だから、もし自分の報酬を100万円上げた場合、所得税、住民税、社会保険料の負担額は普通に50%を超えてしまいます。が、この分を不動産収入でもらった場合、所得税、住民税の負担だけで済みますので、社会保険料30%は払わなくて済むのです。
つまりは、同じ金額を会社からもらうなら、役員報酬でもらうより、不動産収入でもらった方が得をするのです。
不動産を自社に貸しているオーナー社長さんたちは、ぜひこのことを覚えておいてください。
また、お金に余裕のある社長さん、自社ビルを建てようと思っているような社長さんは、建物は会社名義にするより、自分の名義で買っておいて、会社に賃貸する方が、節税になるということを、念頭に置いておきましょう。
●定年退職時の税金の裏ワザ~在職中の配偶者の扶養に入ろう~
定年退職したときの税金の裏ワザの話です。