スタッフです。2015年9月30日に角川書店より発売した「日本兵捕虜はシルクロードを建てた」の3刷が決定しました。昨年の2月5日に2刷目が発売され、初版より1年半あまりで3刷目をお届けできる運びとなりました。
発売当初より、感動したとのコメントやご家族がシベリア抑留に行かれていたことなど、多くの感想を寄せていただき、新聞各紙や雑誌などで大きく取り上げていただきました。多くの本が出版され、なかなかお手元にとどくことが少ない中で長きにわたって購入し、読んで下さる方がいることは本当にうれしいことです。改めて感謝申し上げます。
まだお読みになられていない方もいらっしゃると思いますので、ここで嶌の本書の紹介文を記載します。
ロシア4大オペラハウスを作った日本人捕虜
――シルクロードの日本人伝説と極楽収容所――
このテーマは私がNPO日本ウズベキスタン協会を設立した後、10年以上にわたり取材、調査してきました。実話のノンフィクションとするため、何度か挫折しながらも書き上げた思い入れのある本です。
大地震にも倒れなかったウズベキスタンのオペラハウス
戦後70年にあたる今年(初版発売当時)は、様々な戦後史ものが出版されてきました。なかでも多かったのがシベリア抑留の悲劇です。本作はシベリア抑留の悲劇とは違ったソ連での抑留生活を描きました。中央アジアの収容所ですごした457人の日本人捕虜が旧ソ連の4大オペラハウスの一つとなるビザンチン様式の「ナボイ劇場」をロシア革命30年にあたる1947年10月に完成させたのです。厳しい収容所生活にありながら「後世に日本の恥となるような建築は作らない。その上で、全員が元気に帰国する」ことを使命として永田行夫隊長以下10~20代の捕虜たちがウズベク人と協力して建築したものです。1966年の大地震でタシケント市が全壊した時、ナボイ劇場だけは凛として悠然と建ち続け、中央アジアの人たちを驚かせました。そのことが91年のソ連からの独立以来、日本をモデルにした国づくりをしようという動きになったのです。
戦後70年目に陽の目を見た秘話
シベリア抑留の悲劇に隠れ、ウズベクのオペラハウス建設の秘話はこれまで日本人にほとんど知られていませんでした。ナボイ劇場の裏手に行くと「この劇場は日本人が建設し、完成に貢献した」という碑文があり、これを読んだ日本人は皆涙します。またウズベクの方々が毎週日本人墓地を掃除してくれています。
アマゾンで1位になった感涙の物語
ぜひ若き日本の抑留者たちの労苦と協力・和の精神が中央アジア全体に多くの親日国を作ったことにつながったことを知って頂き、満州抑留兵のもうひとつの秘話を広めて欲しいと思っています。ぜひ日本人論を再考し、感涙の一冊としてもぜひ多くの皆様にご紹介いただければ幸いです。
本書の装丁は鈴木正道氏が担当してくださり、本のカバーを取ると本書の舞台になっているウズベキスタン・タシケント市のオペラハウス「ナボイ劇場」の内部の画像となっています。カバーを取って開いた状態で両端の折り込み部分を開くとさらに大きくなりますので、合わせてご覧いただけると幸いです。
書籍内容についてさらに詳細にお知りになりたい方は、本書の特設サイトを参照ください。