コロナ対応を通じてブラック企業を見つける法

前代未聞の対応を迫られるコロナウイルス。本来ならピーク時期を迎えている新卒学生向け合同企業説明会はのきなみ中止になり、企業も就活学生も困っています。就職を控えている人はこんな非常時こそ、企業を見る目を養ってみてはどうでしょう。「ブラック企業」の可能性を見ることができます。それはその企業の行動特性、判断基準です。

・「根性論大好き」はブラック企業の特質

ブラック企業を恐れる学生から、その見分け方をよく質問されるのですが明確な定義はありません。(厚労省サイトの参考などはある)しかしブラック労働を呼びやすい土壌はある程度見分けられます。特に「根性論が大好き」という傾向は、ブラックに共有するといえるのではないでしょうか。根性論が好きというより、根性論を利用して労働者をだましたり洗脳したりするためではないかと思います。

努力や根性を否定するつもりは全くありません。しかしどれだけ努力しても空を飛ぶことも、1時間呼吸を止めることも不可能です。一人で10人分働けたら経営者は助かるでしょうが、普通は不可能です。根性は当然ですが万能ではありません。

今やコンプライアンスを無視すれば、企業は存続できないほど厳しい目が向けられる時代です。コンプライアンスに反する、科学的にあり得ない労働を強要する企業は、少なくともブラックの可能性が高いといえるでしょう。ブラック企業の特質として「低賃金・薄給」もあるので、単に根性論を押しつけるだけでなく、「給料に見合わない」労働を、根性論によって強要するといえるかも知れません。

・非常時でも接客マナー優先

某ファーストフードチェーンでは、当初接客する際にマスク着用について、禁止ではないものの本部の許可が要ると言っていました。その後事態の急変で態度を変え、基本的に着用は認めるようになったそうですが、明らかに「マスクはマナー上失礼」という根性論を採っていたと推定します。

「店員が接客時にマスクをするのは失礼」

「お客様に失礼なのでマスク使用を禁じられた」

この言葉は今回のコロナの中、特に接客や対面業務で聞かれます。

コロナ渦を根性論やタテマエ太刀打ちできることなどあり得ません。マスク使用はコロナ罹患防止には必ずしも有効ではないものの、万一自分が感染していた場合、自覚症状がないことも多いため「感染蔓延を防ぐためには有効」ということは、かなり広く認知されているといえます。

こうした科学的な理由を覆してマナーとか失礼のようなトンチンカンな精神論を押しつけるのは、ハラスメントとすらいえるほど無謀だと思います。

・コロナ渦を自分事としか理解できない人々

原因や対策は確定できないものの、リスクについてはある程度見えてきました。密閉空間での濃厚な接触はもっとも高いリスクといわれています。マスクは自分が罹らないためではなく、無発症でも「感染させる」リスクを持つためであると、繰り返しマスコミ始め各所で告知されています。

ところがこうしたある程度科学的根拠のあることを理解できない人たちがいます。オリンピック組織委員長の森元総理や、ロック歌手の椎名林檎さんらは、「マスク無しでがんばる」とか「ライブを強行」して激しい批判を浴びました。

震災や天皇崩御の時のような過度な「自粛ブーム」と、今回の罹患「させる」リスクの区別がつかない人たちといわざるを得ません。問題の本質を理解できない「マスクが自分を守るため」、「自粛は芸術の死」というような勘違いは、デマを流布したり買い占めをする愚か者と同様に罪深い存在だと思います。

・ブラック体質のサイン

このような環境下で、今応募しようとしている企業がどう対処しているのか、ぜひよく見て下さい。特にマスクの意味を理解していないようなトップや幹部のいる組織は、きわめてブラックで非科学的な体質を疑わせます。一方、時差通勤や在宅勤務を促進できる組織は、とても恵まれた環境の可能性があります。

私もその一員ですが、フリーで活動したり自ら起業して自営をしている人は、コロナによる突然の仕事キャンセルや発注取り消しでも、ほとんど一円の補償もありません。政府が子供を持つ親への休業補償を打ち出しましたが、子供がいない、正規雇用ではない労働者には何の助けもありません。

新卒で派遣労働になってしまえば、派遣先都合で休業となったとしても、補償されない可能性の方が高そうです。本来であれば会社都合の休職(欠勤、自宅待機)指示は6割の給与補償が義務付けられていますが、それに対応しない組織は恐らくいくらでもあるのでしょう。

非常時では人間の本性も露わになります。企業の財務情報などいくら見たところで数値をごまかされれば見抜くことはできません。しかし企業の行動様式からは、その企業の姿勢や考え方がよく見えるものです。非常事態こそ、そんな姿を見る機会なのではないでしょうか。